本研究は、自己負罪型司法取引について長年運用し議論の蓄積があるアメリカ合衆国の議論状況や実務運用および法と心理学の知見を踏まえて、虚偽供述防止策の実効性を考察した。具体的には、弁護人の援助および量刑格差の制限という二つの代表的な虚偽供述防止策の実効性を検討した。その結果明らかとなった弁護人の援助の限界や、量刑格差の制限の困難性は、今後立法にあたっての議論において参考になるものと思われる。また、約束による自白の存在を踏まえると、憲法38条2項および刑訴法319条1項が定める自白法則の在り方を考えるうえでも参考になる可能性がある。
|