歴史的故国に再移住したコリョ・サラムを事例とした本研究は、コリアン・ディアスポラの類型に対する総合的な理解に寄与し、他のディアスポラ再移住研究に比較時点を提供し、コロナ後世界の多文化社会に対する理解の底辺拡大に寄与したことで学術的な意味がある。また、故国に再移住し二重のディアスポラとなっている集団のエスニック・アイデンティティの変容についての最新の知見は、マジョリティによる統合の対象とみなされてきたディアスポラ的議論に対して、さらにはディアスポラ研究へも新たな視座を提供するだけでなく、多様化かつ複合化する多文化共生研究において新たな理論形成に貢献することで学術的及び社会的意味をもつ。
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