これまで市場不均衡に基づくモデルでは在庫調整にアドホックな仮定が取り入れられており、データ上のパフォーマンスも強くなかったが、この研究では企業が市場から独立して意思決定を行う際に目標とする在庫・売上比率を決めると設定することができた。さらに、戦後アメリカ経済のシミュレーションによって、在庫変動のラグや各変数の変動の大きさについて平均的に再現することができた。 このモデルは標準的な均衡モデルでは扱いにくかった財の需給不一致による在庫変動を明示的に扱うことができ、またシミュレーションにおける非線形性の重要性を発見した。乖離しがちな均衡・不均衡モデルの分析をつなぐことができると期待される。
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