研究課題/領域番号 |
22K20132
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
羽村 靖之 京都大学, 経済学研究科, 講師 (00964983)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | ベイズ分析 |
研究実績の概要 |
正の実軸上の連続データのためのスパースなベイズ分析に関する論文が、査読付き国際学術誌である Bayesian Analysis に受理された。この研究では、逆ガンマ分布の shape-scale 混合を用いて、正の連続データに基づく解釈しやすい形のベイズ推定量を与えた。観測毎の縮小効果を調整するパラメーターに対する事前分布が適当な条件を満たせば、スパース性の下での super-efficiency と、大きなシグナルを縮小し過ぎないという tail robustness とが、共に成り立つということが理論的に示された。近年開発された効率的なシミュレーション手法を用いて、実際に推定・推測を行うための実用的な posetrior sampling の手法を構成した。シミュレーションと実データの分析を行い、提案手法の性能について確認した。 この他にも、例えば、集計された離散データの利用に関する古典的な枠組みでの研究を行った。離散分布の母数の同時推定に関する問題については、これまでに多くの研究が為されているが、連続分布の場合と異なり、ほとんどの決定理論的な研究において、未知の母数の数と観測の数が等しいような設定が扱われている。しかし、応用的な観点からは、未知の母数よりも多くの情報源がある設定も重要と考えられる。例えば、ある一つの都道府県の中の全ての市区町村に関する同時推定の際に、その都道府県全体に関して得られる集計されたデータも利用できないかということが考えられる。本研究では、このような設定において縮小推定法がどのような有効性を持つかという問題を扱った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正の連続データのためのスパースなベイズ分析に関する論文が、査読付き国際学術誌である Bayesian Analysis に受理された。この研究では、 tail robustness と Kullback-Leibler super-efficiency を両立する、解釈しやすい形の実用的なベイズ推定量を構成した。 集計された離散データの利用に関する古典的な枠組みでの論文は、いくつかの有力なジャーナルから却下された。査読付き雑誌での発表を目指して、別のジャーナルに再投稿した。 最近、計数データに基づくベイズ回帰の頑健性に関する論文について、掲載を目指している投稿先から改訂要求の連絡があった。共同研究者と、改訂に関する打ち合わせを行った。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、正の連続データのためのスパースなベイズ分析の研究や、計数データに基づくベイズ回帰の頑健性の研究等において、様々な進展が得られている。これまでの研究で得られた知見を活かしつつ、異なる視点から関連する問題の研究を行っていきたい。例えば、極端に大きな値を除外して正の連続データをベイズ的に分析する手法に関する研究を行っていきたい。 加えて、これまでの研究の中で着想を得た新たな研究も行っていきたい。例えば、多変量データのロバスト回帰の問題を考えたことがきっかけで、行列 GIG 分布からの効率的なサンプリング手法を発見した。この手法について、完成度の高い形での発表を目指したい。 投稿済みの研究については、掲載を目指して改訂要求に対応する。未投稿の研究については、論文の形での投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の業務や、研究分担者としての別の研究課題からの支出もあり、実支出額が所要額を下回った。今後、物品費や、必要に応じて旅費等として、研究費を使用する計画である。
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