研究目的: 本研究では、日本の地域社会における組織とその活動がどのように埋め込まれているかを、濁酒(どぶろく)と信用金庫を対象に調査した。研究期間を通じて、制度、組織と場所の相互構築、地域企業と地域社会の共存・共栄メカニズム、および地域組織の経営に対する示唆を提供することを目指した。
研究成果:1.研究プロジェクトの一環として、博士論文を提出し、2023年1月に一般公開され、博士号が付与された。この論文では、場所が組織的生活に深刻な影響を与えることを示し、場所と組織的行動者の相互作用について我々の理解を深めた。また、場所によって制度が異なる意味を持つことも示した。2.国内外の学会において研究成果を発表し、多くの学者から貴重な意見を得た。具体的には、2022年10月の「The 1st Waseda-Kyoto Management Conference」(日本)、2023年2月の「AAOM/APJM Paper Develop Workshop」(日本)、2023年3月の「18th Workshop on New Institutionalism」(ポーランド)といった学会で本プロジェクトの研究成果を発表した。3.秋田県図書館や国会図書館にて、信用金庫と濁酒に関する資料を特定・収集しました。これらの資料は、今後の研究方向性に対する示唆を提供した。4.児島の繊維産業に関するフィールドワークを行い、地域に根差した伝統産業に関する新たな研究に着手した。
研究の意義と重要性: 本研究を通じて得られた知見は、地域組織や伝統産業に関わる政策立案者や実務家にも有益な情報を提供することができる。具体的にいうと、場所に根ざした制度や文化を理解し、それに適したアプローチを取ることで、地域の持続可能な発展や新たな価値創造に寄与できることを示した。
|