2023年度は、計画していたテーマについて各種の分析を行ったうえで、その結果を論文にまとめ、公表した。 ①インフレ予想の推計に関して2022年に執筆した論文を国内のセミナーで発表し、専門家のコメントを取り入れる形で論文のリバイスを行った。また、日本語だけでなく、英語版も作成し、その両方をディスカッションペーパーとして公表した。さらに、計画していた推計値の公表ウェブサイトを作成し、一般に研究者や関係者等が自由に使えるように公開した。②自然利子率の推計については、推計作業を行い、その結果を論文としてまとめた。また、国内研究機関で発表を行い、専門家との意見交換を行った。そのうえで、リバイスを行い、ディスカッションペーパーとして公表した。推計値の公表については、公表に向けて準備を行った。③金融政策の効果の推計については、日本銀行が行っていたオーバーシュートコミットメント型政策の効果の検証について、論文としてまとめていたものについて、頑健性の確認を追加的に行い、論文のリバイスを行った。また、同論文を海外のジャーナルに投稿し、要求された改訂の後、掲載が決定した。 研究期間全体を通じて、当初の計画通り、日本のインフレ予想と自然利子率の推計および、金融政策の効果の推計を行い、金融政策の効果について新たな知見を得ることができた。また、本成果の社会的な還元を企図して、インフレ予想の推計値について、学界、政策当局者、市場関係者等が自由に使えるデータとして一般公開を行った。
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