将来への物価見通しであるインフレ期待と人々の消費の関係性は、長年研究されてきたものの、実証的に分析することは困難であった。原因はデータの制約である。既存研究はインフレ期待と消費両方に関する量的なデータを収集することができず、質的なデータを活用していたが、その性質上、両者の量的な関係性、すなわちインフレ期待が上昇した際に消費がどの程度変化するのかを分析することができなかった。本研究はデータの制約を乗り越え、両者の関係性を量的に分析している。本研究の結果によって、近年活用されている人々の期待に働きかける金融政策の評価が可能になる。
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