本研究では,ネットワークDEAと産業連関分析を統合した新たなサプライチェーン効率性評価モデルの構築を目的としている.具体的には,研究期間内に以下の2つの分析を行う必要があり,昨年度は主に①に,本年度(最終年度)は主に②に従事した:①ネットワークDEAモデルに産業連関分析モデルを応用した独自のサプライチェーン効率性評価モデルの構築;②多地域産業連関表(GLORIA)を用いた世界164か国の電力セクターのサプライチェーン効率性分析.①に関しては,昨年度中に英語論文1編「Environmental efficiency of the power sector in 43 countries considering global supply chains.」の執筆まで完了したが,投稿に際してデータのアップデートの必要性を指摘されたため,現在はこの再計算と原稿の修正作業を行っている.また,本論文内で採用されたDEAモデルを更にアップデートし,CO2排出削減ポテンシャルの推計まで行った新たな研究論文「Total Factor Energy Efficiency Considering the Global Supply Chain」についても現在執筆中である.これは本年度に参加した環境経済・政策学会及び日本OR学会において一定の評価を受けたため,近くエネルギー政策分野のトップジャーナル「Energy Economics」誌(Elsevier,2022年IF:12.8)へ投稿する予定である. 尚,②に関してはGLORIAのデータの整理時にデータベース自体の不完全性が発覚したため,上記の論文では他の多地域産業連関表(EXIOBASE)による代用を行った.
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