研究課題
当該年度は、行列データに対する縮小推定に関しての研究とテンソルデータでの時系列構造を活かした統計モデリングに関する研究を行った.行列データに対する縮小推定量では、一般化ベイズ推定量と呼ばれる、良い精度や良い性質を持ち得るが実際に計算するには多重積分に関して困難さを伴うような推定量がある. この一般化ベイズ推定量が積分を含まないような形で表せるようなものを考えた. この成果は国際学術誌Journal of Statistical Planning and Inferenceに掲載された.行列データは、1つのベクトルに並べなおすことでベクトルデータとみなす事ができる. 全てのデータが似たような性質を持っている場合にはベクトルにして縮小推定を行う事が良く、行列の構造に応じてデータの性質が異なる場合には行列としての縮小を行う方が良い. どちらが良いかをデータが決めるような推定量を提案した. サンプルサイズより次元が小さい場合にも良い性質を持ち得ることが分かった. 数値実験からも想定した性質が確かめられた. この成果は国際学術誌Journal of Multivariate Analysisに掲載された.テンソルデータに対しては、Tucker分解と呼ばれる分解を用いたベイズモデリングを考え、数値実験を行っている. ベイズモデリングを行う上で重要となる一意性の問題も考慮した上で、数値実験を行いながら修正を行っている段階である. 修正の後、今後学会での発表や国際学術誌への投稿を行いたいと考えている.
2: おおむね順調に進展している
関係データを扱う上での最も簡単な形である、行列データに対する2つの研究が受理・掲載になった点から一定の進捗があったといえる. また、テンソルデータに対する研究においても、シグナルやサンプルサイズなどに関しての条件下で上手く行っている.
テンソルデータに対する研究において、シグナルやサンプルサイズなどに関する条件を緩めても上手く行くように、修正を行う. またコアテンソルに関する縮小についても考える.
国際学会への参加を想定していたが、コロナの影響があり参加しないことになった. 参加できなかった分、国際学会等への参加を積極的に行いたい.
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Journal of Statistical Planning and Inference
巻: 222 ページ: 182~194
10.1016/j.jspi.2022.06.007
Journal of Multivariate Analysis
巻: 194 ページ: 105138~105138
10.1016/j.jmva.2022.105138