本研究の主要な意義は台湾の社区営造を長期的な視点からとらえたことであり、主に二つの側面がある。一つは台湾の社区営造(まちづくり)をライフコース論と結びつけ、特定のコーホートが社区営造を集中的に担っており、彼(女)のライフコースと社区営造自体の発展が結びついていることを明らかにした。もう一つは社区営造が長期化の中で多様なアクターと結びつくことで、政治学(地方政治、社区発展協会)や教育社会学(学校)との関連が生まれる可能性を示したことである。これらのアクターも補助金の申請主体となり、社区営造団体と提携することで、政府の一元的な統治を多様な政府補助金によって回避したり、新たな方法論を可能にした。
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