研究課題/領域番号 |
22K20183
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
松原 悠 滋賀大学, データサイエンス学系, 助教 (30840227)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 社会の空気感 / 災害復旧・復興 / 地震災害 / 気象災害 / 火山災害 |
研究実績の概要 |
今年度は主に、過去30年間の災害事例の資料収集と分析を次の2つの観点から実施した。なお、対象とした災害事例は、気象庁が固有の名称を定め「顕著な災害」として扱っている地震15災害・気象(台風や豪雨)16災害・火山4災害の、合計35災害が中心である。 1つ目の作業は、自身の既往研究で扱った「社会の空気感」の変化に大きな影響を受けるであろう32種類の社会活動について、それらが過去の災害事例においてどのような時期にどのような社会的状況のもとでなされていたのかを事例横断的に確認する作業である。これを通じて、各社会活動の実施時期に影響を及ぼす要素が何であるのかについての理解を深めることができた。 2つ目の作業は、それぞれの災害事例に焦点を当て、各災害事例においていつごろ・どのような「社会の空気感」の変化があったかを確認する作業である。これについては、熊本地震・芸予地震・鳥取県西部地震・能登半島地震を特に重点的に扱った。発災日から1ヶ月間程度の新聞記事等をはじめとする資料を縦断的に確認することにより、「社会の空気感」の変化がどのようなタイミングで起きていたのかを示唆する資料を多数入手することができた。また、各災害事例を比較することで「社会の空気感」の変化のプロセスをより一般性の高い形で理解し記述することを試みた。 なお、自然災害の場合と対照させる意味で、新型コロナウイルス感染症に伴う「社会の空気感」の変化についても、以前実施したインタビューデータの分析等を通じて考察を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の収集と分析を通じて、当初今年度に計画していた、「社会の空気感」の変化プロセスに関する仮説(災害の規模等が異なったときに、「社会の空気感」の変化を示唆するような社会活動が実施されるタイミングがどのように変わるのかということについての仮説)を部分的に得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施した作業では地震災害を相対的に多く扱っていたため、2023年度は気象災害や火山災害についての資料収集と分析も進め、災害の種類によって「社会の空気感」の変化プロセスがどのように異なるのかについての理解を深めたいと考えている。 なお、研究開始当初は資料収集を補足する意味で被災地でのインタビュー調査等の実施を計画していたものの、2022年度中に研究代表者の所属の変更が生じたため、今後はよりデータサイエンス的なアプローチで研究を推進することも検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属機関の変更等に伴い、物品購入や旅費等の支出スケジュールに遅れが生じた。これらについては、2023年度に執行予定である。
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