日本社会の家事労働のジェンダー不平等を緩和することは非常に大きな課題である.量的な家事労働研究はこうした課題に取り組んできたが,「家事スキル仮説」は新たな論点として学術的に注目されている.一方で,人びとがどのように家事をする/しないことによって既婚時の家事労働のジェンダー不平等が生じるのか,実際に家事スキルを身に着けたら家事をするのかは分析されていなかった.本研究は,家事スキルを身に着けるだけでは,男性は家事をするようにはならないことを明らかにした.また,従来の研究では未婚者の家事への注目は非常に低かったが,本研究の知見により既婚者の分担を考える上でも新たな研究領域として重要なことが示された.
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