• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

高等教育は政治的態度を形成するか―専攻分野を考慮したパネル調査データの分析―

研究課題

研究課題/領域番号 22K20197
研究機関立教大学

研究代表者

渡辺 健太郎  立教大学, 社会情報教育研究センター, 助教 (80953158)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2025-03-31
キーワード高等教育 / 専攻分野 / 政治的態度
研究実績の概要

本研究の目的は、パネルデータ(東大社研・高卒パネル調査)の分析を通じて、高等教育を受けることで政治的態度に変化が生じるのかを、大学内部の異質性に注目しつつ明らかにすることである。まず、パネルデータの分析と並行して行ってきたクロスセクショナルデータの分析結果は、査読誌に掲載された。上記論文では、2019年に実施された全国調査である「情報行動と政治・社会意識に関する調査」データを用いて、大学・大学院卒層の憲法意識に注目し、専攻分野による違いがみられるのかについて検討した。分析では、大学・大学院卒層の専攻分野を、人文学と芸術学、理学から構成されるリベラル・アーツ専攻、社会科学や工学などから構成される実学専攻という2つに区分した。分析の結果、(1)大学・大学院卒層の実学専攻に比べて、リベラル・アーツ専攻は憲法改正に反対する傾向にあること、(2)具体的な9条改正案のうち、9条2項(戦力の不保持)の削除や自衛隊明記については、実学専攻に比べて、リベラル・アーツ専攻が護憲的な傾向にある。以上の分析結果から、日本においても、高学歴層の政治的態度は専攻分野による異質性がみられることが示唆された。次に、パネルデータの分析では、上記論文の結果をもとに、実学とリベラル・アーツという専攻分野の違いを考慮しつつ、高等教育を受けることで政治的態度に変化が生じるのかについて検討した。そして、分析自体は今年度で完了した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね順調に進展していると考えられる。今年度は、パネルデータの分析と並行して行ってきたクロスセクショナルデータの分析結果が査読誌に掲載された。当該論文では、2019年に実施された全国調査である「情報行動と政治・社会意識に関する調査」データを用いて、大学・大学院卒層の憲法意識に注目し、専攻分野による違いがみられるのかについて検討した。その結果、大学・大学院卒層の憲法意識がリベラル・アーツと実学という専攻分野によって異なることが明らかになり、日本においても、高学歴層の政治的態度は専攻分野による異質性がみられることが示唆された。また今年度は、上記論文で提示されたリベラル・アーツと実学という専攻分野の分類を用いて、パネルデータの分析を進め、高学歴層の政治的態度の変化について検証した。そして、上記の分析自体は今年度で完了している状況にある。本研究の目的が、高等教育を受けることで政治的態度に変化が生じるのかを大学内部の異質性に注目しつつ明らかにするという点にあることを踏まえれば、研究の進捗状況としては、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今年度は、クロスセクショナルデータの分析から得られたリベラル・アーツと実学という専攻分野の分類を用いて、パネルデータの分析を進め、高学歴層の政治的態度の変化について検証した。そして、上記の分析自体は今年度で完了していることから、今後は査読誌への投稿など、ピアレビューを受けることで、本研究の知見をより確からしいものとすることが求められよう。また、今年度までと同様、教育社会学及び周辺領域の情報収集を引き続き進めることで、本研究の知見についての議論を深めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度は分析が主であった。そのため、査読誌への投稿や学会報告等に要する費用は次年度へ繰り越した。
次年度は査読誌への投稿や学会報告等を通じて、研究成果の公表を進める予定である。
これに伴い、(1)翻訳費用や投稿費用などの論文投稿のための費用、(2)旅費や参加費などの学会発表に要する費用、(3)文献等の情報収集に要する費用に次年度予算を使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 高学歴層の政治的態度の専攻分野による分化2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺健太郎
    • 雑誌名

      ソシオロジ

      巻: 68(2) ページ: 63-81

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi