研究課題/領域番号 |
22K20202
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
平森 大規 法政大学, グローバル教養学部, 助教 (10965718)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | SOGI(性的指向・性自認) / 社会意識 / クィア人口学 |
研究実績の概要 |
2022年度は、本研究プロジェクトのうち、特に性的マイノリティに対する社会意識および性的マイノリティ人口の複雑性・多面性に関する課題を重点的に検討した。前者については、仏教信仰と性的マイノリティに対する態度に着目した上で、全国無作為抽出調査を用いてデータ分析および論文の投稿に向けた原稿執筆を行った。後者については、「日本のアロマンティック/アセクシュアル・スペクトラムにおける恋愛的指向の多面性」(三宅大二郎氏との共著論文)として国内外でも研究蓄積の少ないアロマンティック/アセクシュアル・スペクトラムにおける恋愛的指向の多面性を明らかにした。また、「量的調査における性的マイノリティの諸課題」(家族社会学会大会にて報告)として、性的マイノリティ人口を研究する際の人口学的アプローチとクィア理論的アプローチ、そしてクィア人口学という分析視点の可能性についても明らかにした。さらに、現在分析を進めている「シスジェンダー異性愛を超えた親密関係・独身性を計量的に捉えるための方法論的研究」(ドイツ日本研究所主催の国際ワークショップにて報告)についても、高年齢層への認知インタビューの分析結果を示した。これらに加えて、As Loop・特定非営利活動法人にじいろ学校主催のアロマンティック/アセクシュアル・スペクトラム調査2022調査結果概要報告会や認定NPO法人虹色ダイバーシティ主催のniji VOICE 2022(LGBTQの仕事と暮らしに関するアンケート)報告会に登壇し、コミュニティ向けのアウトリーチ活動も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画に記されている通り、2022年度は性的マイノリティに対する社会意識および性的マイノリティ人口の複雑性・多面性に関する課題について論文出版、学会報告、およびコミュニティ向けのアウトリーチ活動を行うことができ、おおむね順調に進展することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は2022年度に行った研究を継続するとともに、性的マイノリティと階層・不平等に関する課題を重点的に検討する。特に、性的指向に基づく教育達成、職域分離、賃金格差に関する分析を行い、結果をまとめる。性的マイノリティに関する量的研究はアメリカをはじめとする諸外国で盛んなことから、アメリカ社会学会や国際社会学会などの場で学会報告を行い、フィードバックを得る。また、国内においても性的マイノリティを専門とする研究者からコメントを得ることで、さまざまなオーディエンスにとって有意義な研究となるように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計上していた消耗品の一部について、本研究課題は年度途中での開始であることから2023年度に購入した方が研究の推進にあたり合理的であると判断したため、次年度使用額が生じた。これらの消耗品については2023年度に購入予定であり、2022年度に請求した助成金と合わせて使用が完了する見込みである。
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