研究課題/領域番号 |
22K20214
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
中島 武史 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 講師 (20964109)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 日本語への意識 / 聴覚支援学校 / 高等部生徒 / 手話 |
研究実績の概要 |
聴覚支援学校高等部の生徒が、社会の主流言語である日本語に対して何を感じ、どのような言語的バリアを経験しているのかを明らかにすることを目的とする本研究では、文献調査とインタビュー調査を行う計画であった。 初年度は、おもに社会言語学の研究蓄積から外国籍児童など国内の言語的マイノリティが持つ日本語に対する意識の文献調査を進めた。言語的マイノリティの日本語に対する意識を取り上げた研究は散在するものの、残念ながらまとまった研究動向とはなっていないことが分かった。しかし、日本語モノリンガル話者のレベルの日本語を習得することは言語的マイノリティにとって高い壁であることは一致しており、結果として日本語への苦手意識をもつ事例が多く見られた。 また、本研究に関わるフィールドワークとして、関西圏の複数の聴覚支援学校を訪問し授業観察を行った。その後、インタビュー調査に先立って、聴覚支援学校高等部の生徒を対象に質問紙調査を行った。その結果から、聴覚支援学校高等部の生徒の中には、他の言語的マイノリティと同じように日本語への苦手意識をもつ例が確認された。ただし、反対に日本語を得意だと感じている例もあることがわかった。現在は、各回答に対する生徒の属性を分析しているところである。 今後は、質問紙調査の結果をふまえインタビュー調査を進めていき、先に行った文献調査の結果と比較しながら、聴覚支援学校高等部の生徒の日本語への意識について考察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
聴覚支援学校の訪問や授業見学は、COVID-19の影響は受けたものの概ね達成することができた。文献調査においては、言語的マイノリティの日本語に対する意識を取り上げた研究は散在していたため、予算の都合上、すべてを入手することは困難であったが、優先的に調べたい文献は購入することができた。また、当初は予定していなかった聴覚支援学校高等部の生徒に対する質問紙調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
計画の通り2023年度は、聴覚支援学校高等部の生徒に対するインタビュー調査を行うめどがたっている。まずは、既に行った質問紙調査の結果の分析を進め、インタビュー調査の項目を作り上げていく予定である。インタビュー調査の実施後は得られたデータを分析し、文献調査の結果と比較しながら、言語的マイノリティに共通している日本語への意識と、聴覚支援学校高等部生徒に個別の意識などを探っていく予定である。個別の研究成果は研究発表において、研究成果のまとめについては、研究論文の執筆を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
計上していた特別支援教育関連図書について、想定していたような収録内容ではないことが判明したため購入を見送った結果、次年度繰越額が生じることになった。また、COVID-19の影響により、計上した旅費よりも実際の支出が減少した。2023年度はこの繰越金を加味して、社会言語学分野の図書の入手数を増やす予定である。
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