【研究概要】本研究の目的は、特別支援学校生の遠隔スポーツ・部活指導の方法論を実証研究から明らかにする事にあった。 以上の研究より、専門的なスポーツ指導者が居ない地域や特別支援学校においても遠隔地の専門家によるスポーツ指導が受けられる可能性を拓く事を目指した。加えてその方法論を示すことにより、過疎地の部活動地域移行の課題解決を目指した。以下、1年目と2年目(最終年度)の研究成果を述べる。 【1年目の業績】広島県内・山間部の特別支援学校で陸上競技やり投げに取り組む特別支援学校生に対する部活動の指導をパラスポーツ指導の専門家が在住する東京都から遠隔指導する実証研究を実施した。2022年10月から2023年2月まで指導を継続した結果、最終的に選手の技能が向上し、選手の自己記録を10m更新するに至った。また指導の際、コーチは上記特別支援学校とオンライン「外部指導員」の立場で指導に関わった。この遠隔部活指導における「外部指導員」の事例は特別支援学校だけでなく、一般の中学校部活指導を含めても国内で初の事例となった。 【2年目の業績】広島県の山間部で陸上競技やり投げに取り組む知的障害特別支援学校生に対する遠隔スポーツ指導を、教育大学陸上競技部所属の大学生(やり投げ選手)の指導のもと実施した。遠隔部活動の指導者を大学生が務めた事例は、特別支援学校だけでなく一般の中学校部活指導を含めても国内で初の事例となった。指導を2023年11月から2024年3月末まで継続した結果、特別支援学校生の技能が向上し、記録を更に10m更新するに至った。以上の取り組みより、過疎地の部活動地域以降における指導者を都市部の大学生が遠隔部活動にて引き受ける新しい方法論の可能性を拓いた。
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