本研究は、日本の高校に在籍し日本の大学への進学を希望している、日本語を第二言語として学ぶ生徒(Japanese as a Second Language Students:以下、JSL 生徒)の認知的発達段階を考慮した「書く」教育実践システムを構築することを目的としている。文献調査および、JSL生徒、教師へのインタビュー調査から、現在、日本国内で行われている「書く」教育に対する課題と改善点を明らかにする。これらを踏まえ、日本の大学への進学を希望しているJSL生徒に対して「書く」実践と考察を行い、今後、JSL生徒に対する「書く」教育は何を目指し、どのように行っていくべきなのかを示す。本年度は、以下の3点に取り組んだ。 1.教師へのインタビュー調査:外国人集住地域で日本語指導および日本語指導コーディネーターを担当している高校の教員に調査を依頼した。教員への調査では、どのようにJSL生徒と向き合い、カリキュラムを作成し、実際に指導を行っているのかを語ってもらった。その上で、さまざまな地域におけるJSL生徒を取り巻く環境と実際の指導の現状を把握した。 2.生徒へのインタビュー調査:研究協力者である、筆者が勤務する高校において日本語を第二言語として学んできた大学生に対し、本年度も継続してインタビュー調査を行った。継続的にインタビュー調査を行うことにより、JSL生徒の日本語を含む複数言語とその学びに対する 捉え方に対する意味付けが、時間の経過と環境の変化によって、どのように変化していくのかを明らかにした。 3. 研究成果の公表:これまでの研究成果をまとめ、国内、および国際学会にて発表した。また、国内学術誌に投稿し、研究論文が掲載予定である。
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