研究目的は、学校・研究機関との実践的研究を通して特別支援学校における音楽づくりの現状を明らかにし、指導プログラムを開発することである。以下4つの研究における成果を述べたい。【研究Ⅰ】2022年に研究実施校である滋賀県立特別支援学校でこれまでの知見を活かした音楽授業を実施した。実践前には、音楽担当者と個々の生徒への配慮点を含めた授業案の検討を行い、実践後は、授業を記録した動画を使って生徒の自主的な音楽表現箇所や生徒と音を使ったやりとり等の振り返りを行い、プログラム開発に反映させている。 【研究Ⅱ】2023年5月に京都府内及び滋賀県内の特別支援学校を対象に、音楽科の教育課程や授業に関する実態や課題、音楽担当者の思い及び音楽づくりの実施状況に関するアンケート調査を実施した。その結果をSPSS統計分析を使った数値評価及び自由記述の分析を行い、2023年10月の日本音楽表現学会にて口頭発表を行った。さらに申請者が2011年に実施した実態調査との比較研究を『花園大学社会福祉学部研究紀要』第32号(2024)でまとめた。 【研究Ⅲ】滋賀県内の音楽教育実践センターとの共同研究として、滋賀県内の特別支援学校への音楽アウトリーチ事業である障害児童生徒との自主的な音楽表現活動に継続的に関わり、事例の検証及び活動内容の意義や今後の可能性の検討を重ねてきた。【研究Ⅳ】2023年9月と2024年2月にベトナムハノイにある障害児療育センター2カ所を各々2回訪問し、ベトナムで製作した竹筒楽器(トガトン)を使った子どもたちの自由な音楽表現活動を実施した。その結果は、2024年6月の日本音楽表現学会発表予定である。また現地におけるスタッフ研修会の在り方と成果についても紀要に発表すべく準備しているところである。
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