第1に、学習に関する権限の移行や共有が生徒たちの地理学習に与える影響の具体を提示できた学術的意義である。特に、学習目標と学習評価の権限への関与に関する生徒たちの語りからは、学習者の主体性と、学びの真正性を担保する地理学習を促進できる可能性が示唆された。 第2に、日本の地理教育改革に向けた示唆を与えた社会的意義である。様々な地球的課題や持続可能な地域づくりなど、切実な社会問題を多く取り扱う地理教育では、教師が教室全体に対していかに「良い」地理学習を提供するかではなく、多様な知識や経験、考えをもつ子どもたちと教師がいかに「良い」地理学習を共創できるかという視点の転換を指摘することができた。
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