研究課題/領域番号 |
22K20238
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
大塚 啓太 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (20963797)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 自然への愛着 / 森林体験 / 環境教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である、森林が身近にある大学へ進学したことを契機とした大学生の自然への愛着の醸成過程を解明するため、本年度は自然への愛着に関連する既往研究の検討を行った。具体的には、既往研究で報告される自然への愛着に関連する心理測定尺度(自然に対する感情反応、自然とのつながり感、自然への愛情といたわり、等)を検討し、調査に用いるのに適切な質問項目を整理、新たな心理測定尺度質問紙を作成した。この質問紙の妥当性を確認するため、異なる専門性を有する有識者2名(心理学・環境学)と協議し、更に、都市・地方大学生を対象にした予備調査を実施することで、自然への愛着を問うのに過不足ない質問項目を決定した。この手続きのうち、予備調査の結果から自然への愛着の構成内容を予察的に考察すると、自然への愛着は「選好性」、「帰属感」、「回復感」、「情動」、「繋がり感」、「畏敬感」、「安全性」、「価値観」、「アイデンティティ」、「貢献の意志」の10の構成因子から成ることが予想された。 これらの質問項目は「自然に対して愛着を感じるか?」という質問への回答傾向と一定程度の相関を示し、既存の心理測定尺度質問紙よりも多角的で詳細に評価することが可能であると考えられる。ただし、予備調査で取得したデータにおける統計解析では、自然への愛着は4因子程度が妥当な構成因子数であることが示されており、次年度以降の調査において構成因子の統計的な確認をおこなう必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画のうち、自然への愛着尺度に関する既往研究の検討及び予備調査を実施し、当初の計画どおり進めることができた。ただし、次年度計画する都市・地方大学生を対象の質問紙調査の準備に関して、調査協力先確保がコロナ禍等の影響によって目標達成数の見直しを行った。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に収集・整理した自然への愛着尺度質問紙を用いて、都市・地方大学1年生を対象とした質問紙調査を実施する。この調査は1年間の縦断調査であり、対象者が大学進学した直後の4月、夏季休暇後の9月、冬期休暇後の1月に同様の質問紙調査を実施する。これらを解析することで、都市・地方の居住環境が自然への愛着の差異や変化にどのような影響を与えるかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍等の影響により、地方大学への調査依頼が遅延し、当初想定した調査協力大学数までを確保できなかった。そのため、その分の旅費と調査協力者謝金が次年度使用額となった。当該助成金に関しては、翌年度に請求した助成金と合わせて、調査のための経費、特に調査協力者に対して支払う謝金に当て、質問紙調査の有効回答数をより効率的に確保するために使用する。
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