これまでの社会科教育学研究においては、様々なカリキュラムの分析やその授業理論に基づく授業開発研究が盛んに行われてきた。しかし、そのような研究は社会科教育のカリキュラムや授業理論を確立することに重きが置かれており、論争問題学習を日本の教室の中でどのように取り入れていくべきかということに十分な関心が払われてこなかった。本研究では、具体的な指導法導入に関わる教師や生徒の反応や認識に着目したことで、実際に論争問題学習を教室で導入した際に起こる教師の指導上の葛藤を明らかにできた点で意義がある。また、本研究の成果や課題は教師教育における論争問題学習の指導法の確立に関する議論の際にも参考となる。
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