• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

A/r/tographyによる美術のワークショップ実践者の省察と探求の促進に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K20271
研究機関筑波大学

研究代表者

LIAO XITONG  筑波大学, 人間系, 特任研究員 (50965027)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード研究協力の依頼と実施 / 参与観察 / 振り返りミーティング / 録音データ / 文字起こし
研究実績の概要

本研究の目的は、芸術家/研究者/教育者の自己省察と探求の方法である「A/r/tography」によって、美術館及びNPO団体のワークショップ(WS)実践者の省察と探求がどのように促進されるのかを明らかにすることである。研究目的を達成するために、WSが行われている美術館や団体に研究協力を求めた。水戸芸術館で行われる「造形実験室」と、つくば市の周辺市街地のまちづくり事業「つくばR8アイディアソン」(2022年度)の1つとして小田チーム「小田から子育て応援隊」が実施した「PlaySchool」という2つのプログラムに参与観察をした上で、実施後のミーティングにおいて、「A/r/tography」を省察と探求の手法として用いて、振り返りを実施した。なお、本研究は、筑波大学人間系倫理委員会の承認を得て実施した(課題番号:筑2022-130A)。
「造形実験室」は、様々な素材を提供し、造形活動を実験的に行うWSで、2022年9月から展開され、毎月に2日間、2回ずつ実施されている。2022年10月からの4ヶ月間の実施に参与観察をした上で、2023年1月末に振り返りミーティングを実施した。研究に協力したのは企画者1名と市民ボランティア1名である。「PlaySchool」は、廃校になった小学校の空き教室を利用し、複数のWSを同時に実施するプロジェクトである(2022年11月実施)。企画・実施に参加した上で、終了後に振り返りミーティングを実施した。研究に協力したのは「小田から子育て応援隊」のメンバーと当日スタッフを含めた7名である。研究対象者の同意を得た上で、振り返りミーティングの録音を行なった。2023年3月現在、録音データの逐語化を終え、フィールドノーツを作成し分析段階に入った。美術館や団体の様々な属性をもつ実践者を対象に研究を実施し取得したデータは、実証的に分析するための材料となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究を進めることにあたって、これまでの研究で協力実績を有する水戸芸術館とNPO団体「CANVAS」に研究協力を依頼する予定だったが、実際に依頼に向けた打診や打ち合わせを重ねた結果、研究協力に至ったのは水戸芸術館のみとなった。「CANVAS」で行われるWSでは、終了後のファシリテーターのミーティングは10分ほどであり、研究に協力できる時間を取ることが困難であった。また、水戸芸術館から研究への協力を得たが、WSコーディネーターの意向に従い、当初の実施予定からの調整があった。「造形実験室」は、月に2日間、1日に2回ずつの実施となり、毎回のWS終了後に30分以上のミーティングは難しかった。打ち合わせの結果、4ヶ月間に実施されたWSを振り返るミーティングとしての実施であれば協力可能という合意になり、当初の予定である「毎回のWS後に実施(30分ほど)」から、「ある程度の実施期間を経た後にまとめて実施(2時間ほど)」への変更となった。
一方、そのほかの研究に協力できる団体について打診・依頼したところ、つくば市の周辺市街地のまちづくり事業「つくばR8アイディアソン」(2022年度)の中で、小田チーム「小田から子育て応援隊」の協力を得た。「小田から子育て応援隊」は、法人資格を取得していないが、まちづくりに意欲がある市民が主体として非営利活動を行っていることから、NPO団体の特徴に合致すると考えられる。本研究の研究目的、複雑な構成を特徴とするWS実践者の省察と探求に「A/r/tography」の効果を明らかにすることであるため、より多様な実践者を研究対象にする必要がある。「小田から子育て応援隊」のメンバーは、地域住民、保護者、研究者、教育関係者など様々であるため、本研究の対象として適していると考えられる。

今後の研究の推進方策

2023年度では、2022年度に取得したデータの質的分析を行うと同時に、今後の研究の展開やデータの充実のため、これまでの研究で協力実績を有する美術館や団体のみならず、新たな協力者・対象者の打診と依頼を行う予定である。データの分析にあたっては、逐語化したミーティングの録音をもとに、成果物の画像データを加えて清書版フィールドノーツを作成する。フィールドノーツを基本的な分析材料に、オープンコーディングで分析作業を行う。フィールドノーツからコードを生成し、コードの相互関係を検討し、サブ・カテゴリー、そしてカテゴリーを抽出する。抽出されたカテゴリーをもとに、研究対象者の省察と探求プロセスを考察する。これらの分析結果を踏まえて、A/r/tographyによる省察と探求がどのように実践者の学びに役立つのかを総合的に考察する。
分析と考察過程について、2023年10月に行われる予定の日本美術教育連合の研究発表会で発表し、11月に研究論集に投稿する予定である。また、これまでに実施したA/r/tographyによるWS実践者の学びへの促進に関する研究と実践を通して見出した成果と課題をまとめた上で、国際美術教育学会(The International Society for Education Through Art)世界大会2023(トルコ)で発表する予定である(発表タイトル:The Benefits and Challenges of Utilizing A/r/tography in Reflections for Art Workshop Practitioners in Japan)。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] A/r/tographyによる探求の生成と相互作用ー写真と映像表現の共同探求の事例をふまえてー2022

    • 著者名/発表者名
      LIAO XITONG
    • 学会等名
      美術科教育学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi