• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

物語論によるセルフスタディを用いた教員研修の原理的・開発的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K20278
研究機関広島大学

研究代表者

岡村 美由規  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (50467784)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワードセルフスタディ / 主観性の擁護 / 科学性 / 物語論 / 教員の自己研鑽「研究」と「修養」 / アクションリサーチ / 学校における教職員の関係性と研究
研究実績の概要

研究目的を達成するために、研究開始時において、さらに以下の点について具体的に取り組むことが必要と考えていた:①セルフスタディにおける「セルフ」を省察することの必要性の理論化(理論研究)、②「セルフ」を省察することと情動(emotion)、感性(feeling)の関係性の解明(理論研究)、③「セルフ」を省察することの方法論としての物語論の援用可能性の検討(理論研究)、④③を踏まえた試行的実践(開発的研究)。
1年目にあたる2022年度は、理論研究の一環として国内外の文献の調査と収集をした。具体的には③(方法論の検討)を中心に研究を進めた。第一に、「セルフ」を省察することが単なる感想ではなく研究としての科学性の担保について検討をした。これは令和4年(2021年)10月に開催された教育哲学会で、ラウンドテーブル「教育哲学研究における「科学性」の再検討」において、報告をした。報告では、科学としての方法論において当事者の主観性の担保を基礎づけ、その主観性が職業人の判断力を形成していることについて論じた。第二に、emotion や feelingなどについて、哲学および心理学の領域における議論の整理を行った。この研究成果は2年目において、学会発表や論文として公表する予定である。第三に④と関連し、セルフスタディのコミュニティづくりに着手している。所属先である教職大学院で実施するアクションリサーチとの連携について検討するとともに、同じくセルフスタディを研究する研究者との研究上の連携を図ることができた。これらの研究成果も2年目に私的研究会などで発表するとともに、論文化して投稿する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在所属している組織(部局)は3つであるが(教職大学院(専門職養成とリスキリング)、学部(教員計画養成)、大学院(研究者養成))、これら3組織(部局)の、研究科における位置づけの相違に由来する、部局間の関係性および各組織で求められる教育方針並びに実態を理解し、職務(教育および大学行政)に適応することに、想定した以上に時間がかかった。これが理論的研究の遅滞の理由である。
第二に、研究協力者の多くが異動したばかりであり、共同研究の時間調整が困難であったことである。異動に加え、まだCovid-19の感染拡大防止策のなかで学校活動は行われていた時期であったことも、共同研究を行う時間を制約した要因であった。これが開発的研究の遅れの理由である。

今後の研究の推進方策

理論研究については、先行研究調査を進め、学会発表(教育哲学会・10月、中国四国教育学会・11月)を進め、また学術雑誌に論文投稿を行っていく。
開発的研究については、研究協力者と共同研究を進め、8月にハンガリーで開催される欧州教師教育学会にて発表をする(プロポーザル査読通過済)。

次年度使用額が生じた理由

国際学会のうち2022年度開催が中止されたものが1件あった。また研究協力者との共同研究の実施が、研究協力者の異動ほか事情によって進展が見られず、関連する謝金や交通費などの支出がなかった。
2023年度の国際学会予定は、現時点では8月末にハンガリーで開催される欧州教師教育学会に口頭発表することが決まっており(査読通過)、その旅費および参加費として使用できることとなった。また口頭発表内容は研究協力者へのインタビューが含まれる計画であるので、その際に謝金や交通費の支出が期待できる。国際学会はさらに1件を計画したいものの、候補学会が国内学会と重複していることが分かっており、したがって先述の国際学会のほかにどの国際学会で発表するかは、本報告書提出時点では決まっていない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 教育哲学研究における「科学性」の再検討2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木篤、平井悠介、河野桃子、岡村美由規
    • 雑誌名

      教育哲学研究

      巻: 127 ページ: 119-125

  • [雑誌論文] 若手支援企画『教師として「実践的」研究へどう向き合うか』に参加して2022

    • 著者名/発表者名
      岡村美由規
    • 雑誌名

      日本教育方法学会『教師として「実践的」研究へどう向き合うか―教職大学院における学びを問う、データ駆動型社会に向き合う授業研究(1)―授業研究をどう捉えるか―(第25回研究集会報告書)』

      巻: ‐ ページ: 38-38.

  • [学会発表] 教育哲学の「科学性なるもの」の探究―教師教育学への援用を射程にいれて―2022

    • 著者名/発表者名
      岡村美由規
    • 学会等名
      教育哲学会第65回大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi