研究課題
本研究目的を達成するために、以下の4点に取り組んだ:①「セルフ」を省察することの理論研究、②「セルフ」を省察することと情動(emotion)、感性(feeling)の関係性の理論研究、③「セルフ」を省察する方法としての物語論についての理論研究、④③を踏まえた試行的実践(開発的研究)。1年目(2022年度)は、③方法論を中心に研究を進めた。「セルフ」は当人の主観に基づいて分析される(「省察」)ため、主観が科学的である根拠について検討した。2年目(2023年度)は、①理論研究、②セルフの省察と情動・感性との関係性といった理論研究を中心に行った。【成果】初年度の理論研究をもとに、以前にセルフスタディの共同研究を行った現職教員に面談し、研究した経験が自身にもたらした変化について語ってもらった。そこから自分自身を対象として研究することの意義を析出し、日本(教師教育学会)と海外(欧州教師教育学会)で発表した。自己を研究することは、経験のリフレクションに留まらずに自分にとっての新たな知識生成に結びつくこと、また知識を生成した経験がもたらす効用には:a.自分の実践への自信と根拠をもたらす、b.ゆえに他者に指導助言行うときに限界を踏まえることができる(言い換えると謙虚になる)、c.経験を開示し他者に語ることが癒しになる、d.日誌をつけるようになり、アンガーマネジメントの一方略となった、ことが析出された。【進行中】④について、教職大学院で行っているアクションリサーチとセルフスタディとの相違と親和性についての研究を行っている。なお学外研究者からの呼びかけに応じて、本邦における「アクションリサーチ連絡協議会」の立ち上げに携わることになった。実際の立ち上げは本研究課題への支援期間後となるが、立ち上げに至るきっかけをもたらしたことは本研究課題の重要な成果に挙げられると考える。
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Association for Teacher Education in Europe and Eotvos Lorand University. ATEE Annual Conference 2023 'Teacher Education on the Move' Book of Abstracts. Brussel: ATEE.
巻: - ページ: 94-95
中国四国教育学会『教育学研究紀要』
巻: 69 ページ: 574-585
教育哲学研究
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