研究課題/領域番号 |
22K20283
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
澁川 幸加 中央大学, 文学部, 特任助教 (80963024)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
キーワード | 反転授業 / 授業設計 / 教育工学 / 大学教育 / インストラクショナルデザイン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大学教育を対象として、反転授業実践初心者が反転授業設計・実践で抱える困難とその支援方法を理論的・実証的に明らかにすることである。 ◇成果概要 本年度は、反転授業設計の独自性を整理する理論研究を進めることに取り組んだ。まず、反転授業の先行研究をもとに、反転授業を設計する観点として、反転授業の設計の確認、事前学習の設計と対面授業の設計、連関性と整合性の確認を支援する必要性があるとまとめた。次に、大学教員14名の反転授業設計ワークシートへの記述を分析した。その結果、反転授業を設計する上では、学習目的や学習目標と整合するような学習活動の設定が困難であること、連関すると教員が認識する活動には様々な種類があることが確認された。さらにその成果物を分析し、連関性の具体的な分類を行った。231の事前学習の活動と対面授業の活動との対応付けに対し帰納的にカテゴリを生成した。その結果、事前学習と対面授業の活動には11種の連関性(前提知識の確認、対面授業への方向づけ、ねらいの確認、内容の確認、形成的評価、練習、応用、共有、フィードバック)があることを明らかにした。 ◇成果発表状況 反転授業設計の独自性についても言及した論文は、日本教育工学会へ投稿し、現在査読修正中である。また、連関性の分類の結果は、日本教育工学会の全国大会で学会発表を行った。このように本年度は、実際の反転授業設計の成果物の分析から、反転授業設計の独自性の理論的な基礎づけを行うことができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、反転授業設計の独自性についてまとめることができた。(査読修正中である。)さらに、大学教員(反転授業実践初心者も含む)の反転授業設計の成果物を分析することで、授業設計上の困難の解明や、「連関性」の類型という反転授業設計の理論を支える結果を見出すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度学会発表を行った「連関性」の類型を、サンプルを増やす等して論文投稿をする予定である。本年度の分析対象は講義科目が多いなど、偏りがあった。様々な科目形態における反転授業設計のデータを分析することで、より妥当な「連関性」の類型を導ける。 また、反転授業実践初心者が実際に実践する際にどのような試行錯誤をするのか、どのような支援が望ましいのかを検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度にモントリオールで開かれる国際学会(International Society of the Learning Sciences)へ参加し、今年度の成果である連関性と整合性の概念について、海外の研究者たちからフィードバックを得る予定である。円安の影響で海外への渡航料が高騰しているため、次年度の旅費の支出が多くなる見通しである。そのため、計画的に翌年度に繰り越した。
|