研究課題/領域番号 |
22K20293
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
木村 光宏 岡山理科大学, グローバルセンター, 講師 (70965649)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 国際バカロレア / 教員養成教育 / 教師教育 / 教育方法 / 国際教育 / グローバル人材育成 |
研究実績の概要 |
2022年度は申請書に記載した目的に合わせて、IB教員養成を行う大学で予備調査を実施した。実施した研究の成果は以下の通り。 第一に、目的①のカリキュラム分析については先行研究をレビューすることで、これまでのIB教員養成に関する研究における批判的思考の位置付けを調べた結果をIB 教員養成の国際会議で発表した。第二に、目的②の実習の授業分析や質問紙調査については、予備調査として、国際バカロレア教員養成プログラム(IBEC)を修了したばかりの学生14名と履修していない学生11名を対象に批判的思考態度尺度(平山・楠見, 2004)を利用した質問紙調査を実施した。「(8)様々な文化について学びたいと思う」、「(7) 生涯にわたり新しいことを学び続けたいと思う」、「(10) 自分とは違う考えの人に興味を持つ」の3観点でIBECの学生の方が有意に高く、IBECを修了した学生の批判的思考態度の高まりを捉えることができた。さらにIBを履修した学生の記述をまとめると、IBの手法を踏まえた活動により、根拠を踏まえて発表をするなどの経験をするようになったと回答するなど、質的分析を行い、IB 教員養成の国際会議で発表した。第三に、IBECを修了して1年以上経過した方々を対象に6名からの回答を得た。分析の結果、いくつかの項目で、IBECを修了したばかりの学生よりもスコアが下がっている項目がいくつかみられ、働き始めて常に批判的思考を活性化して判断しているわけではないという結果が得られた。 今回は、1校における予備調査を中心に検討を行ったが、今回の手法を他のIB教員養成校に広げて検討を行うこととしたい。また、今後はこれらの批判的思考態度の高まりについてどのような経験が影響しているかについて検討を行うこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで、IB教員養成を実施する大学の教員とオンラインや対面で協議を重ね、批判的思考を捉える枠組みや調査手法について擦り合わせを行ってきた。2022年度は授業見学を計画していたが、新型コロナの影響で授業観察の目処が立たず、1校のみにて予備調査という位置付けで質問紙調査を行うことに重点をおいた。 海外における実習授業については、インドで1名の大学生が授業を行い、その過程での成長について記録を残した。 予定よりも授業観察やインタビューが進んでいない状態ではあるが、調査のためのネットワーク形成や予備調査を実施することができた。 研究発表については、9月に日本国際バカロレア教育学会、ラウンドテーブルにて「大学におけるIB教員養成課程の質の向上を目指したラウンドテーブル」というタイトルで意見交換を行った。 また、IB教員養成に関わる大学教員の研究会である、IBEC Universities Research & Networking Meetingにて「A Study of the Characteristics of Critical Thinking of IBEC Graduates: A Questionnaire Analysis of University Students Using Mixed Research Methods」というタイトルで発表を行った。論文については現在執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下のスケジュールで研究を推進する。 2023年6月:IB教員養成プログラム修了生で教壇に立つ学生を訪問し、授業観察及びインタビューを実施する。7・8月:都留文科大、聖隷クリストファー大の教員と連携し、質問紙調査の実施日を決定する。9月:日本国際バカロレア教育学会にて発表を行う。10-12月:論文執筆と調査準備1月:質問紙調査の実施(大学4年生)、論文の投稿3月:海外実習における授業観察 2023年に収集したデータで2024年に研究発表等で発信を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナのため、授業観察が計画どおりに進められなかったため、次年度への継続が必要となった。 次年度は、授業観察及びインタビュー実施のための支出を予定する予定。
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