本研究では,勤勉性の下位概念を見出し,勤勉性の関与が示唆される社会的アウトカム変数との関連を検討した。研究1では,大学生を対象にした調査を通じて,162項目から成る勤勉性が反映された行動のリストを作成した。研究2では,行動リストを用いて質問紙調査をおこない,勤勉性の下位概念の構造と,各下位概念と学業,健康,仕事に関する社会的アウトカム変数との関連を検討した。分析の結果,勤勉性は7つの下位概念から構成されることが示唆された。また,下位概念によって社会的アウトカム変数との関連のパタンが異なることも示された。勤勉性は「非認知能力」としても注目されることから,今後は教育的介入や政策の検討も期待される。
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