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2022 年度 実施状況報告書

人工知能に仕事を奪われたとき,人はどのような原因帰属を示すのか

研究課題

研究課題/領域番号 22K20306
研究機関京都橘大学

研究代表者

横井 良典  京都橘大学, 健康科学部, 助教C (40961579)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワードWeb実験 / 投資ゲーム / 最後通牒ゲーム / 原因帰属 / 人工知能 / 競争
研究実績の概要

本研究では,人工知能に仕事を奪われたとき,人はその奪われた原因を何に求めるのか(原因帰属)を検討した。2022年度は2つのWeb実験を実施した。実験1では,投資ゲームという課題を使い,原因帰属を検討した。実験参加者は実験上で投資を行い,人工知能の成績と比較された。実験では「人工知能に成績が劣った場合,報酬を多く得られる2回目の投資の機会を奪われる」と参加者に説明した。そして,作為的に参加者の成績を人工知能の成績より下回らせることで,人工知能に仕事を奪われるという状況を作った。参加者は人工知能に仕事を奪われた後,その原因として自分の能力と相手の能力に強く帰属していた。実験2では,最後通牒ゲームという課題を使った。この課題は2人で行われるゲームで,供給者と受取人という役割に分かれた。供給者は1万円のうち好きな金額を自分と相手に分配し(例.供給者に6000円,受取人に4000円),受取人はその分配を容認できるかどうかを判断した。受取人が容認すると,供給者が決めた通りの金額が分配された。受取人が拒否すると,両者とも1円も分配されなかった。実験参加者は別の参加者とゲームを行い,供給者と受取人をそれぞれ5試行実施し,最終的な金額が多くなるように求められた。参加者には「人工知能がまた別の参加者とゲームを行っており,得られた金額が人工知能に劣った場合,より多くの報酬を得られる次のゲームに進めない」と教示した。実験1と同様,作為的に参加者の成績を人工知能の成績より劣らせた。実験2においても,奪われた原因として,参加者は自分の能力と相手の能力に強く帰属していた。原因帰属は動機づけや社会心理といった分野で多く検討されてきたが,人工知能との競争場面においては検討されてこなかった。本研究は原因帰属研究に新たな知見を与え,人々の新たな原因帰属パターンの発見につなげることができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は2つのWeb実験を実施することができた。実験1は当初の計画にあった投資ゲームを使った実験であった。研究費が採択される前に,研究倫理審査を受けていたことから,実験1を早くに実施することができた。Web実験を行う際に,実験参加者の募集を調査会社に依頼したが,委託料が想定よりも安価であった。時間と経費に余裕が出たため,当初の計画になかったが,実験1で得られた知見が,課題を変えても再現されるのかどうかを検討した。実験2では,最後通牒ゲームを使い,実験1で得られた結果の一般化可能性を検討することができた。この点については,当初の計画以上に進展があったと言える。一方,元々の計画書内にあった「検出された原因帰属パターンがなぜ生じるのかという心理プロセスを特定する実験」を実施することはできなかった。これらの理由から「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

2023年度では,実験1と実験2で得られた知見をもとに,なぜそのような原因帰属パターンが見られるのかという心理プロセスを特定する。当初の計画では,心理プロセスを特定するための実験においても,投資ゲームを使用すると記載していた。しかし,2022年度に実施した実験を踏まえると,経費に余裕があるため,最後通牒ゲームを使う実験も実施する。これにより,心理プロセスの検討に加え,2022年度の実験結果の再現可能性についても検討できる。これに加え,計画書にあった通り,2022年度の実験で示された原因帰属パターンが実験参加者を北米人に代えても検出されるのかどうかも検討する。原因帰属は文化によって異なることが先行研究から分かっている。それゆえに,北米人を対象とすることで,人工知能に仕事を奪われたときの原因帰属が文化を超えて一般化されるものなのかどうかを検討する。また,2022年度の成果を国内学会で発表し,2023年度と合わせた成果を国際学術誌に論文として投稿する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は,Web実験を行う際の費用と論文執筆に関わる英文校閲の費用が想定よりも安価だったためである。2022年度では,Web実験を行う際,参加者の募集を調査会社に依頼していた。また論文を英語で執筆し,単語や文法等の校正を英文校閲会社にら依頼した。これらの業者による見積額が想定よりも安かった。繰り越された分は,2023年度の学会発表や研究会等で必要になる交通費に割り当てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 人工知能との競争場面における人間の動機づけの検討2022

    • 著者名/発表者名
      横井良典
    • 学会等名
      日本心理学会第86回大会
  • [学会発表] 人工知能に仕事を取られたとき,人はどのような原因帰属を行うのか2022

    • 著者名/発表者名
      横井良典
    • 学会等名
      日本社会心理学会第63回大会

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公開日: 2023-12-25  

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