本研究の成果は、AIの開発や社会実装を社会的に受容される形で進めていく際に参照できる経験的な知見を提供する点で社会的意義があると考えられる。人間とAIでは期待される判断内容が必ずしも同じではないことや、同じ判断をしても異なった印象を与えうるという結果は、AIの判断にどの程度の柔軟性を持たせるかという設計上の問題や、AIに判断を任せてよい範囲を見極めるという運用上の問題を検討する際に役立つことが期待できる。また学術的な意義としては、倫理的判断の内容が同じでも判断主体が人か否かによって適切さの評価が変わることを定量的手法によって確認し、倫理に関して人々が持っている判断基準を解明することに貢献した。
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