本研究課題の目的は、幼児期における自己顔に関わる感覚情報の認知機構とその発達的側面を明らかにすることであった。生後24ヶ月児を対象に顔写真を用いた検討から、顔のどの位置をどれくらいの長さ見るかといった視線運動においては、自己顔への視線パタンは年齢・性別が一致する他者の顔への視線パタンと類似していることが示された。認知負荷の指標として用いられる瞳孔の動態においては、自己顔においてのみ特異的な変化が見られた。一方で、生後18-24ヶ月ごろに獲得されるとされる自己鏡映像認知と自己顔への視線運動および瞳孔の動態の間に関連はみられなかった。
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