| 研究実績の概要 |
東北大学の石橋典氏との共同研究として, 構造定数の正値性予想のスケイン代数的な解釈を与え, いくつかのマーク付き曲面に対して, 構造定数を具体的に与えることで正値性予想を証明した. Mandel--Qinがテータ基底とそれらの量子双対写像が一致すること, その帰結として正値性予想が従うことを示しているが, 図式的かつ具体的に構造定数が理解できるというのが本研究の有用性である. この結果をプレプリントとしてまとめ, ジャーナルに投稿した.
さらに, 上記の発展として, 量子タイヒミュラー空間に関するHiattの結果の自己貼付3角形を含む理想3角形分割への拡張に対していくつかの結果を得た. このためには, Hiattが導入した変数(剪断座標の２乗根)を自己貼付3角形の場合にも導入する必要があるが, 我々が用意した変数の変換則とミューテーション（量子Poisson変換）が対応していることを具体的計算によって既に確かめた. これについては, プレプリントとしてまとめている段階である.
本年度は12件の招待講演の機会をいただいた. そのうち5件は国際研究集会における口頭発表であり, 国内外を問わず多くの研究議論をすることができた.
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