研究課題/領域番号 |
22K20361
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
永田 知子 日本大学, 理工学部, 助教 (00733065)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 電子型強誘電体 / 電気磁気効果 |
研究実績の概要 |
電子型強誘電体RFe2O4の電気磁気効果は既存の理論で説明できない現象である可能性があるがその詳細は未解明である。本研究は、局所的な電気磁気効果を観測しその詳細を解明することを目的とする。 現在、研究実施計画に記載の第1段階・第2段階・第4段階を同時に進めている。第1段階の試料作製・評価について、当初は単結晶試料を使用予定であったが、薄膜試料を使用することに変更した。単一ドメインの電気分極測定を目指すため、バルク試料より薄膜試料が有効であると考えた。液相反応法による薄膜作製に取り組み、YbFe2O4の類似物質であるh-YbFeO3が作製できた。焼成時の雰囲気をより還元側にすることでYbFe2O4薄膜の作製が可能である見込みがある。 第2段階の局所電気分極測定に向け、任意波形発生器・高速バイポーラ電源・高精度オシロスコープを用いた電気分極測定システムが概ね立ち上がった。本物質は電気分極に対して比較的大きな導電成分が検出される可能性が高いことを踏まえ、より電気分極が検出しやすい波形を検討している。また、電気分極測定の予備測定として、インピーダンスアナライザを用いた誘電率測定を行った。 第4段階の局所磁化測定に向け、光学系の構築を行った。プローバー上に構築しやすく、より大きな磁気光学効果が期待できる極カー配置で構築した。信号検出部に差分検出システムを導入し、測定精度は0.005度の高分解能であることを確認した。光学系は概ね構築できたが、光源であるHe-Neレーザーへの戻り光を遮断するアイソレーターを改良する必要がある。通常の磁石を用いた光学アイソレーターは、磁場中で測定する本研究では使用できないため、改良方法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では、現在までに第2段階まで完了する予定であった。現状は、第1段階・第2段階に遅れが出ているものの、第4段階の準備も進めている状況である。 第1段階の試料作製において、予定していた単結晶から薄膜に変更したことにより遅れが生じているが、類似物質YbFeO3の作製には成功しているので、焼成条件を変更することによりYbFe2O4が作製できる見込みがある。 第2段階の局所電気分極測定については、高速バイポーラ電源等を用いた測定系の準備が概ね整った。ドット状電極を作製するためのメタルマスクを準備し、第1段階の試料の準備が完了次第取り掛かることができる。 第4段階の局所磁化測定には当初予定より早く取り掛かることができた。使用する光学系は概ね構築でき、差分検出システムにより0.005度の高分解能で回転角を検出できる見込みがある。光学系についてはアイソレーターの改良を残すのみである。この光学系を磁場下プローバー上に設置することで測定が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
第1段階の試料作製について、引き続き薄膜試料の作製に取り組むと同時に、単結晶試料を薄く研磨した試料も準備する。薄膜試料については、類似物質であるYbFeO3が作製できたことから、より還元雰囲気での焼成を試みる。 第2段階の局所電気分極測定について、ドット状電極作製のためのメタルマスクの準備と測定系のプログラム作成を同時に行う。メタルマスクと試料(薄く研磨した単結晶試料または薄膜試料)・プログラムが準備でき次第、ドット状Au電極を作製し電気分極測定を行う。電気分極が観測できない場合は、実効的な印加電場を大きくするために試料をより薄くする。印加電場の波形を工夫することも有効であると考えている。また、第2段階が完了すれば第3段階にはスムーズに移行できる。 第4段階の局所磁化測定について、アイソレーターを改良することで光学系を完成させ、磁場下プローバーに設置し、まずは局所でなく試料全体についてカー効果測定を行う。磁気光学効果が検出できない場合は、試料温度・入射光の偏光方向・試料の方位等を調整し観測を試みる。第4段階は試料への電極付けが不要であるため、第2・第3段階と同時進行で進める。第2・第4段階が完了すれば、第5段階にスムーズに移行することが可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、高速バイポーラ電源を当初予定と異なる製品に変更したため、また、任意波形発生器を別予算で購入できたためである。 使用計画として、メタルマスク・Au蒸着源・薄膜試料原料の購入、光学系の改良費用を予定している。
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