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2022 年度 実施状況報告書

酸素プラズマ照射による宇宙風化実験:フォボス帰還試料による火星史復元に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 22K20378
研究機関東京大学

研究代表者

田畑 陽久  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (70962372)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード宇宙風化 / フォボス / 火星 / 表層進化 / 大気進化 / プラズマ
研究実績の概要

本研究では、酸素プラズマによる固体惑星試料の宇宙風化実験を行うことで、酸素プラズマが固体惑星試料に与える影響及びその素過程を明らかにすることを目的としている。2024年打ち上げ予定の日本の宇宙探査機MMXがサンプルリターンを計画している火星の衛星フォボスでは、火星から流出する大気により今も酸素プラズマが降り注いでおり、過去の火星大気の流出過程が記録されている可能性がある。そのため、本研究の結果は、日本の火星衛星探査計画(MMX)の取得するデータの解釈に必要な基礎的な知見を与えると共に、火星がいかにして大気を喪失したかを理解する手がかりとなる。
当該年度は、固体惑星試料に酸素プラズマを照射可能な真空実験系の構築を行った。実験装置は固体惑星試料を配置する真空チャンバと酸素プラズマを生成する装置から成る。予算が執行可能となった2022年9月以降順次部品を購入し、設計した実験装置の組み上げを行った。最終的に組み上がった実験装置において酸素プラズマが生成・照射されることが可視分光測定によって確認され、実験装置の完成とした。また、実験試料として国際的に流通している模擬フォボス試料を国内の研究者より入手した。
これにより、世界で初めてフォボス上において火星流出大気由来の酸素プラズマによって進行していると考えられる宇宙風化反応について、室内再現実験を行うことが可能となった。2023年度は、生成した酸素プラズマの特性評価及び模擬フォボス試料を用いた照射実験を実施する。模擬フォボス試料の酸素プラズマの照射前後における赤外分光測定を実施し、酸素プラズマによる宇宙風化の影響評価と素過程の解明を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度の目標であった、酸素プラズマ照射による宇宙風化実験装置の開発は完了したため、本研究はおおむね順調に発展している。国際学会発表を通じて海外の研究者と議論した結果、フォボス以外の固体惑星試料についても入手可能な算段が立ち、本研究の計画時は想定していなかった実験についても追加で検討を行っている。

今後の研究の推進方策

計画当初の予定通り、生成した酸素プラズマの特性評価及び模擬フォボス試料を用いた照射実験を実施する。模擬フォボス試料の酸素プラズマの照射前後における赤外分光測定を実施し、酸素プラズマによる宇宙風化の影響評価と素過程の解明を進める。

次年度使用額が生じた理由

実験装置の真空引き用に購入を計画していた真空ポンプについて、研究室内の実験計画の変更により既存品を使用できたため、昨年度中は購入しなかった。しかし研究室内で今後使用する可能性もあるため、今年度中に当初計画通り新規購入することを検討している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Time-gated Raman spectroscopy of clay minerals for the reconstruction of water chemistry on early Mars2023

    • 著者名/発表者名
      Tabata H., Cho Y., Yumoto K., Mori S., Hyuga H., Sugita S., Matsuki A. & Fukushi K.
    • 学会等名
      The 82nd Fujihara Seminar, Naeba Prince Hotel, Minami-Uonuma-gun, Niigata, Japan
    • 国際学会
  • [学会発表] 初期火星水環境の水質復元のためのナノ秒 時間ゲートラマン分光装置の開発2022

    • 著者名/発表者名
      田畑陽久、長勇一郎、湯本航生、森晶輝、日向輝、杉田精司、松木篤、福士圭介
    • 学会等名
      日本惑星科学会2022年秋季講演会、ザ・ヒロサワ・シティ会館、水戸市、茨城県

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公開日: 2023-12-25  

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