四肢動物は呼吸に伴って内臓の位置が変化して重心移動が生じる。鳥類ではその特殊な肋骨―胸肋関節のおかげで重心移動が背腹に限定され二足歩行性や飛行能力に貢献している可能性が指摘されてきたが、実験的検証はなされていない。本研究では鳥類と有鱗類の生体を用いて重心移動を計測した。また、CTスキャンを用いて鳥類、哺乳類、爬虫類の肺の膨縮に伴う肋骨運動の定量評価を行った。この結果、鳥類だけでなく有鱗類でも重心移動が非常に小さく限定されていることが明らかになった。これは肋骨運動の定量解析を鑑みるに、有鱗類の呼吸では前方肋骨のみが呼吸運動に利用され、重心移動が非常に小さなものとなっているためであると考えられる。
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