研究課題
本研究の目的は、既存のモデル(岩石の空隙率、比抵抗、含水率などの関係式)が仮定する岩石中の空隙構造とそれから算出される比抵抗の確からしさについて、デジタル岩石物理学を用いて評価することであった。対象とする岩石は多孔質な岩石であった。2023年度は、代表的な多孔質岩石であるフォンテーヌブロー砂岩のX線CT画像データに加え、Mt.Simon砂岩、Nugget砂岩、Berea砂岩、Bentheimer砂岩のデータも追加し、デジタル化された岩石モデルを作成した。そして、それらモデルに対し有限要素法による数値計算を実施し、モデルの境界に静電位を与えたときに生じる空隙構造中の電流分布を計算した。そこから、岩石全体の比抵抗を算出し、空隙率と比抵抗の関係を調べた。また、空隙構造中の電流分布から電流経路の屈曲度についても算出し、空隙率・比抵抗とその屈曲度の関係も調べた。さらに、静電位を与える方向を、x軸、y軸、z軸の3方向に変えて、それらの異方性についても調べた。その結果、砂岩の種類に依らず、空隙率の減少に伴う比抵抗の増加とその異方性の増加が確認された。加えて、それに伴う電流経路の屈曲度の増加も確認することができた。これら一連の結果は、空隙率が低いほど空隙の連結は妨げられ、流れる電流経路の屈曲度も高まり、比抵抗と異方性を大きくするということを示唆している。電流経路の屈曲度は岩石の電気特性を説明する重要な因子のひとつとなり得る可能性がある。得られた一連の結果は論文としてまとめ出版した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Journal of the Society of Materials Science, Japan
巻: 73 ページ: 232~239
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Journal of Applied Geophysics
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