研究課題/領域番号 |
22K20398
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
今井 健太郎 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (60966589)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 応力解析 / ディープニューラルネットワーク / 光弾性実験法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,光弾性CT法を実用化することである.応力が作用している材料を光が透過すると,応力状態に応じて光の偏光状態が変化する.この性質(光弾性)を利用し,カメラで検出した偏光状態から2次元の応力分布を推定する手法が光弾性実験法である.光弾性CT法は,複数の方向から光弾性実験を実施し,それらの結果から3次元の応力分布を算出する.その実現のために,ディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた推定モデルの構築と,実機実験による検証を繰り返し,精度よく応力分布を推定可能な手法の確立を目指す計画である. まず,DNNモデルを構築するためのプログラムを作成した.(1)汎用有限要素法ソフトから出力された節点の座標および各応力成分の値を読み取り,再配置する.(2)ジョーンズ計算法により光の経路に沿った光弾性の影響を計算し,カメラ位置における偏光状態を算出する.(3)カメラで取得するのと同様のデータ形式に変換し,DNNの入力データとして取り込む.(4)元の応力分布を教師データとし,DNNの学習を行う.(5)再構成された結果を定量的に評価する.以上の一連の処理を行うプログラムを作成した.また,応力分布の類似度を定量的に評価する手法を検討し,DNNの最適化アルゴリズムに適用することで推定精度が変化することを確認した. 実機実験を行うための実験装置の設計も進めている.具体的には,一台のカメラで複数方向からの撮影を可能とするための回転機構と,応力を生じさせるための外力負荷機構を備え,また回転中心や撮影位置を一致させるための位置調整機能を搭載する.また,試料界面での光の屈折の影響を低減するため,高屈折率の液体を保持する水槽内部に試料を固定する台を設置し,水槽外部から非接触伝達機構により試料を回転させる.現在,物品の選定および発注を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DNNの学習には,多量かつ多様な入力データおよび教師データが必要であり,当初は汎用有限要素法ソフトで計算した応力分布を用いる計画であった.しかし,様々な境界条件を手動で設定する必要があり,また出力されたデータをDNNで利用するためにも編集が必要であった.そのため,多量かつ多様なデータを用意することが困難になることが予想された.そこで,DNNの学習に使用しているプログラミング言語Pythonにより有限要素法を実施し,シームレスに応力データを取り込むことで効率化できると考え,有限要素法プログラムをPythonにて新規に開発することにした.プログラムの作成,検証作業が発生したため,DNNモデルの構築にやや遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り,有限要素法の計算をPythonにて行うことで,入力データおよび教師データの作成を自動化し,より汎用性の高いDNNモデルの構築を目指す.また,実験装置の組み立ておよび動作試験を実施し,検証実験の準備を整える.①DNNモデルの学習>②検証実験>③推定結果の定量評価を1サイクルとし,DNNの構造,学習手法,実験方法,評価手法等を変化させながら繰り返すことで,より精度の高い推定ができるように最適化していく. また,DNNのみではなく,他の再構成手法との連携も模索する.例えば,X線CTでは数学的なフィルターを用いる解析的手法や,逐次近似法による再構成手法が用いられる.こうした手法や,知能化技術を併用することで,本手法の信頼度や精度の向上を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入における端数であり,少額であるため翌年度の使用計画に変更はありません.
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