研究課題
昨年度の研究で、イオンエンジンの高電圧作動において必須の機器であったガス絶縁器で、耐電圧7キロボルトを達成した。今年度は、そのガス絶縁器を使用して実機作動を行い、以下の成果が得られた。まず、先行研究で確認された放電不安定性の問題については、マイクロ波のインピーダンス整合を取るために導波管の設計を微変更することで解決できた。これにより、最大推力26 mNをとる動作点で、中和器流量を加味した比推力6500秒を達成した。また、導波管の設計変更により、軌道上での性能変化を最小限にとどめた耐久性の高いスラスタを仕上げることができた。具体的には、マイクロ波を伝播させる導波管表面に、軌道上での堆積が予想されるカーボンを予め付着させ、マイクロ波のインピーダンス整合状態を実現した。これにより、カーボン堆積状態でもイオンエンジンの高性能作動を実証できた。本研究により、軌道上で長期にわたり耐久性の高い、推力25 mN、比推力6500 sの高比推力イオンエンジンを実現できた。今後は、スラスタ性能の温度依存性やその他の懸念事項を入念に調べ上げ、宇宙機搭載に見合う信頼性の高いエンジンに仕上げていきたい。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 5件) 備考 (2件)
Acta Astronautica
巻: 211 ページ: 750~754
10.1016/j.actaastro.2023.06.036
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