第6世代移動通信システム(6G)では300 GHz帯のミリ波の使用が検討されており、実用化にはUTCなどの正確な基準周波数に基づいたミリ波帯周波数合成が必要である。有力な手法の一つに、2つのCWレーザーをUTCに同期した光コムを位相同期する方法がある。その2つのレーザーの差周波数が必要なミリ波帯周波数であり、高速な受光器によりビート信号としてミリ波を発生させる。ここで、光コムを用いたミリ波帯周波数の決定には、レーザーと干渉している光コムのモード次数差を決める必要があり、従来は高価な波長計が用いられてきた。そこで今回、光コムの繰り返し周波数を変調し、コムとレーザーのビート周波数の変調深さを測定することで、従来よりも簡便にモード次数差を決定する手法を提案した。 2022年度は、実験で使用する光コムを作製し、繰り返し周波数とキャリアエンベロープ周波数をUTC(NMIJ)へ位相同期した。光コムの繰り返し周波数が大きいほど、モード次数差が小さく決定が行いやすくなるため、繰り返し周波数を200 MHz程度とした。このとき、モード次数差は1500程度となり、決定には4桁以上の測定精度が必要となる。 2023年度は、光コムとレーザーを用いて変調深さの測定精度を検証した。この結果、測定の安定度は4桁程度であり、モード次数差決定に必要な精度に近い値が得られた。さらに測定値がばらつく原因を推定し、安定度が4桁程度であることの説明を試みた。
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