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2022 年度 実施状況報告書

地盤凍上と地震の複合外力を受けた補強土壁の耐震性評価に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K20451
研究機関豊田工業高等専門学校

研究代表者

小笠原 明信  豊田工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教 (30962972)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード補強土壁 / 凍上 / 地震 / 遠心模型実験 / 複合外力
研究実績の概要

研究初年度は,凍結・融解履歴を与えた補強土壁模型の実応力場での自重変形挙動の把握および,凍結・融解の有無が加振時の補強土壁の最大変位量に与える影響の明示化に取り組むことを目的としている.
模型地盤の縮尺は1/50とし,50Gの遠心加速度場で加振実験を実施する.本研究で対象としている帯鋼補強土壁は,壁高6~8m程度の施工実績が多いため,高さ120mmで模型を作製し,遠心力載荷実験装置によって重力の50倍の遠心力をかけることで高さ6mの補強土壁を想定した実験を行っている.模型地盤の裏込め材には,細粒分質礫質砂(SFG)に分類される凍上性の高い地盤材料を使用して,締固め度Dc=95%として模型地盤を作製した.また,模型地盤内に温度センサーを設置することで地盤内の凍結状況を把握しており,断熱材を使用することで実現象と同様の凍結状況を再現している.加振条件については,加振周波数1.0Hz,レベルⅠ地震動に相当する加速度振幅200galを20波与えて加振実験を実施している.
上述した実験結果より,凍結・融解履歴を与えていないケースにおいて,50G到達までに裏込め地盤の沈下等は発生せず,加振後においても変形が発生していないことが確認された.また,同様の地盤条件において凍結・融解履歴を与えたケースについても,加振後の変形が発生していないことが確認された.以上のことから,帯鋼補強土壁の施工管理基準値を満たした条件下においては,1サイクルの凍結融解履歴では変形が発生しないほど耐震性が高いことが示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題では,(1)凍上・融解履歴を与えた補強土壁模型の実応力場での自重変形挙動の把握,(2)凍上・融解の有無が加振時の補強土壁の最大変位量に与える影響の2点を明らかにすることを計画している.2022年度において,上記のいずれも実施しているが,(2)については盛土材料が完全に凍結し凍上した状態,凍上から融解した状態,凍上・融解を繰り返した状態など,1サイクルのみの凍結・融解履歴ではない条件下について加振実験を実施し,積雪寒冷環境における補強土壁において最も耐震性が変化する外力条件を明示化する必要があると考えている.以上のように,研究を進めることができている一方で,様々な実験条件下による加振実験を行うことを検討しているため,区分を(2)とした.

今後の研究の推進方策

次年度においても,上述した遠心力場加振実験を継続して実施していく.また,加振後の変形挙動のみならず,模型地盤内の間隙水圧計,圧力計,補強材への作用力などの測定結果から,複合外力条件下における補強土壁の耐震性について検討を行う.さらに,模型実験の利点を活かして,変形状況を観察しやすくし,変形の誘因を検証することや,現実にはまだ発生していない現象をモデリングするため,模型地盤の締固め度や地盤材料などの条件を変化させた加振実験を実施する予定である.以上のことから,積雪寒冷環境にある補強土壁の凍上・融解作用によって変化した耐震性能を明示化し,経済的な対策工の決定に資する基礎データを収集する.

次年度使用額が生じた理由

昨年度における実験条件において,凍結・融解履歴を与えた場合でも,加振後の変形が発生していないことが確認された.そのため今年度は地盤材料を新たに選定することや,補強材の摩擦係数を測定するための治具等が必要であることから,次年度に使用額が生じている.今後は補強土壁模型を作製するための資材や,模型実験や補強材の引抜試験実施のための各種計測機器類に使用する予定である.また,模型地盤の凍結状況や加振後の変形状況を詳細に観察するためのレーザー変位計,成果発表や積雪寒冷地に構築された補強土壁の現地調査などの旅費,論文校閲・別刷り代,研究成果の発信・発表のための投稿・登録料に使用予定である.

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公開日: 2023-12-25  

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