研究課題/領域番号 |
22K20452
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研究機関 | 明石工業高等専門学校 |
研究代表者 |
大城 雄希 明石工業高等専門学校, 都市システム工学科, 助教 (80967084)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | ポリウレタンエラストマー / エラストマー材料 / 高力ボルト摩擦接合継手 / すべり係数 / 機械的性質 |
研究実績の概要 |
2022年度は,既に実施していたエラストマーシートを挿入した高力ボルト摩擦接合継手のすべり試験を対象とした,簡易的な有限要素解析の詳細検討を実施した.これは,既往研究で実施された引張試験の再現解析であり,解析に用いたエラストマーシートの各種物性値はメーカーの製品カタログから得られた参考値である.解析によって継手のすべり荷重を算出し,積層構造におけるせん断応力の算出式から導かれるすべり荷重の推定値との比較を実施した.既往の研究では簡易的な解析のため,継手のボルト孔を省略した解析モデルを用いた解析を実施しており,継手のすべり荷重は解析値と推定値で概ね一致することが確認された.一方,今回実施したボルト孔を考慮した解析では,解析値が推定値を12%程度下回る結果となり,推定値からすべり耐力評価すると過大評価となることが確認できた.また,想定しているエラストマーシートを用いて従来の継手と同等のすべり耐力を発揮するには,0.16~0.18mmのシート厚さが要求されることが分かった.この厚さは既往研究で使用した1mmと比較しても非常に薄く,製品として作成するには困難だと考えられる.しかし,これらの解析では,エラストマーシートの正確な物性値を使用しておらず,鋼板とエラストマーシートは境界面ですべらないことを前提としているため,実際の試験結果を十分に再現できているとは言い難く,更なる検討が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エラストマー材料の材料試験が未実施である.これは,当初予定していたエラストマーシートでは,十分なすべり耐力の向上が見込めない恐れがあるため,継手に挿入する材料を再検討しているからである.現在,異なるエラストマー材料や,その他の材料も含めて継手に挿入する材料を模索中である. 材料試験が未実施のため,正確な材料特性を考慮した有限要素解析も未実施である.また,当初予定していた有限要素解析ソフトウェアAbaqusから,同一のソルバーを有する別のソフトウェアへの変更を検討しており,現在は試用中である.新たなソフトウェアの導入により,解析は計画よりも遅れが生じており,今後も遅れが生じると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得られた結果はエラストマーシートの物性値を正確に反映できていない.そこで,今後は継手に挿入するシート材の材料試験を実施する予定である.また,材料の選定を引き続き実施しつつ,新たな有限要素要素解析ソフトウェアを用いた継手引張試験の再現解析に取り組む.また,シートを挿入した高力ボルト摩擦接合継手のリラクセーション試験および引張試験も実施予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
すべり耐力の向上が見込めない恐れがあるため,エラストマーの材料試験用試験体の購入を見送ったこと,および,購入予定であった有限要素解析用のソフトウェアが変更となったため.ソフトウェアの変更に伴い必要となる,利用学習教材を2023年度に購入予定である.
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