研究課題/領域番号 |
22K20466
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
足立 壮太 東京理科大学, 工学部建築学科, 助教 (90966839)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 炭鉱住宅 / 宇部炭田 / 宇部興産 / 鉱山集落 / 縮退都市 |
研究実績の概要 |
本研究は、地質構造及び社会情勢との連関から宇部炭田における炭鉱住宅地の形成と炭鉱業衰退後の土地利用変化を明らかにすることを目的としている。 本年度は主として炭鉱住宅地形成・変容の分析を行うためのデータ収集を進めた。具体的に、まず炭鉱住宅地形成に関しては、航空写真を用いて炭鉱住宅地と思われる計画住宅地をリストアップした上で、代表点の(閉鎖されたものを含む)登記簿謄本・旧土地台帳(の写し)の取得を行った。その過程で、炭鉱住宅地の所有は炭鉱企業名義でなく、経営者名義で行われている場合が散見されたため、現在、鉱山監督局などから発行されていた鉱区一覧のリスト化と登記情報との照合作業を行っている。なお、これと並行して地質図・鉱区図の収集を行うとともに、近世における宇部炭田の炭鉱業について、近代的な炭鉱住宅形成の前提として整理を行った。 続いて炭鉱住宅地の変容過程については、上述した登記簿謄本・旧土地台帳の取得に加えて現UBE発行の社内報である「興和」のうち、宇部市立図書館の所蔵が確認できたものの悉皆調査を行い、炭鉱住宅跡地の開発にも関わっていた「ウベハウス」に関する記事の収集・整理を行った。さらに、宇部市役所にて開発登録簿の悉皆調査を行い、炭鉱企業及びその関連企業が関わった開発の登録簿の写しを取得した。そしてその結果として、宇部市内において炭鉱企業あるいはその関連企業が関わったと思われる開発が少なくとも30件以上あることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
登記簿謄本・旧土地台帳の写しの取得に予定よりも時間を要した上に、登記が個人名義で行われているケースが想定よりも多く、鉱区一覧などとの照合作業が急遽必要となったことで炭鉱住宅地の形成過程に関する分析がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に収集したデータをもとに、2年目は原則として整理・分析作業に集中する。具体的には、鉱区一覧のリスト化を行ったうえで、宇部炭田におけるマクロスケールでの炭鉱業推移を整理・可視化するとともに、登記簿謄本・土地台帳との照合作業を行うことで炭鉱住宅地の形成過程(土地取得状況)を整理する。そして、それらと地質構造・社会情勢との連関を分析を進めるが、地質構造に関しては地質学者との議論を行いながら分析作業を行う予定である。 炭鉱住宅地の変容過程については、まず登記簿謄本・土地台帳の情報をもとに住宅地図及び航空写真で土地利用変化を整理するとともに、その変化が炭鉱関連企業の関与によるものか、行政の関与によるものか、その他によるものか分類し、分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
登記簿・土地台帳や開発登録簿の写し取得にあたっては、申請件数が多い場合にその必要経費を予測することが困難であったため、若干の次年度使用額が生じる結果となった。次年度使用額については、山陽小野田市における登記簿・土地台帳や開発登録簿を補足的に収集する際に用いることとする。
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