研究課題
本研究では、濡れ性の低い系におけるμ-PD法(Dewetting μ-PD法)について、形状制御性に関する従来のμ-PD法との比較検討を実施した。Dewetting μ-PD法は、近年開発された表面張力を利用した高速な形状制御単結晶育成法であり、従来は機械加工が不可能とされた難加工性材料をシングルプロセスで高速に線材化することが可能な手法である。Dewetting μ-PD法では、従来法と異なり結晶径が引下げ速度に対して正の依存性を有する等の特徴が見られることから、前進接触角の速度依存性が影響していると予想された。本研究では、静的角度条件の測定を通じた理論値と結晶育成試験を通じて実現される結晶径から予測される値のずれを比較し、前進接触角およびその速度依存性を検証した。先年度実施したPtに引き続き、Ir, Ru等の純金属における気液固三重点でのGrowth angleの実測をテトラアーク引上げ法を用いて実施し、いずれも10°未満であることを明らかにした。メニスカス形状の計算結果から、線径を穴径に漸近させるための必要条件である接触角との角度条件に対して、Growth angleがほとんど寄与しないことを意味しており、接触角が増大する要因の必要性を支持する結果であった。またIr, RuについてDewetting μ-PD法を適用し、結晶育成速度と線径の変化をモニタリングすることで、線径の増加傾向および最大到達速度が材料に応じて異なることが見出された。これにより、前進接触角の速度依存性が系によって異なることが見出され、材料系ごとの適切な形状制御の指針が得られた。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 7件) 産業財産権 (8件) (うち外国 1件)
Journal of Crystal Growth
巻: 629 ページ: 127565~127565
10.1016/j.jcrysgro.2023.127565
International Journal of Refractory Metals and Hard Materials
巻: 114 ページ: 106235~106235
10.1016/j.ijrmhm.2023.106235