アルカリ水溶液による精練は、繭からシルクフィブロイン(SF)水溶液を調製するための最初の工程である。種々の濃度のNa2CO3水溶液を用いることにより、分子状態の異なるSF水溶液を調製することができる。本研究では、種々のSF水溶液を用いてフィルムを作製し、特性を評価した。 Na2CO3濃度の増加により、水溶液中のSFの分子量分布が広くなることが確認された。低分子量のSFを多く含むフィルムは、相対的に分解が早く、線維芽細胞の接着を抑制した。ラット腹部癒着モデルを用いた評価では、組織との接着を抑制する効果を発揮した。一方で、高分子量のSFで構成されたフィルムは、組織接着を促進する傾向にあった。
|