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2022 年度 実施状況報告書

電場アシスト触媒による低温での亜酸化窒素直接分解プロセス

研究課題

研究課題/領域番号 22K20484
研究機関早稲田大学

研究代表者

重本 彩香  早稲田大学, 理工学術院, 助手 (30961148)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード亜酸化窒素 / 触媒分解 / 電場触媒反応 / 環境触媒 / 一酸化二窒素
研究実績の概要

電場アシストにより従来課題とされていた共存酸素や吸着酸素を能動的に制御し、N2Oを選択的にN2とO2に分解することを目指した。触媒活性は固定床常圧流通式反応装置を用いて、電場あり・なしの条件でN2O直接分解試験を行い評価した。電場は、触媒層の上下端から電極を挿し直流電流を印加することで形成した。触媒としては、N2O分解反応で多く使用されているペロブスカイト型酸化物や、電場中でNOx除去に高性能を示した際の担体であるCeO2をベースとした酸化物を中心に検討を進めた。
その結果、過剰酸素共存下のN2O分解反応に対して電場をアシストすることで、従来の触媒反応では反応の進まない低温度域でN2O分解反応が進行することを見出した。担体材料・担持金属スクリーニングから、CeO2にZrをドープした担体材料にRhを担持した触媒(Rh/Ce0.7Zr0.3O2)が最も高いN2O分解活性を示した。また担持金属として、貴金属だけでなく、安価な卑金属を用いても電場アシスト時にはN2O分解反応が促進されることが分かった。消費電力は0.6W程度で、極めて小さな消費エネルギーで反応を駆動させることが可能だ。さらに、電場アシスト時には共存酸素濃度を増加させても高いN2O分解能力が維持されることを示した。一般的には、共存酸素によって触媒が被毒されN2O分解能力は低下するが、電場アシストによりN2O分解活性に対する酸素阻害が抑制できることを見出した。以上の結果から、電場アシストが過剰酸素共存下のN2O直接分解サイクルの成立に有効であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の前期目標は、「電場アシストによって低温で高活性・高選択性を示す触媒を決定し、酸素共存下で低温N2O直接分解触媒プロセスを達成すること」だ。今回の結果から、過剰酸素共存下のN2O直接分解反応において、電場アシストにより従来の触媒反応では反応の進まない低温度域で反応が進行することを見出した。さらに最適な触媒材料としてRh/Ce0.7Zr0.3O2を決定することができた。以上の点から、本研究の前期目標は達成できたため、研究はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は電場アシスト効果を明確にしていくため、活性制御因子やメカニズムの解明に取り組む。具体的には、酸素昇温脱離プロファイル(O2-TPD)測定を行い、電場あり・なしの条件で酸素脱離挙動を比較する。加えて電場あり・なし条件の反応速度論解析、同位体(18O2及びN216O)を用いた過渡応答試験、オペランド(反応条件下その場観察)IR及びXAFS測定を行い、実際の反応中に生じる現象を定量・定性的に議論する。これらのメカニズム解明により電場アシスト効果を明確にし、より優れた触媒の設計開発や、その他の電場アシストを利用した反応系に応用・展開する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、触媒材料のスクリーニングと触媒性能評価を中心に行った。そのため、反応速度論解析、同位体過渡応答試験、オペランドIR及びXAFS測定に関わる消耗品の購入が次年度になったため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、同位体過渡応答試験用の高圧ガスボンベや物品の購入を行う。さらに兵庫県相生町のSPring-8施設でXAFS測定を予定しており、その国内旅費に使用する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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