太陽光発電高効率化に向け,広帯域近赤外吸収を示すNi2+によるEr3+のフォトンアップコンバージョンの増感が検討されている。しかしNi2+の光物性は非経験的に予測することは難しい。本研究では,配位子場エンジニアリングによるNi2+吸収波長の制御と第一原理計算による吸収エネルギー予測に取り組んだ。構造相転移を利用することにより,近赤外吸収波長を最大50nm短波長シフトさせることに成功し,太陽光スペクトルに合致する吸収特性を示すデバイス設計が可能であることを示した。第一原理計算により,母体の結晶構造から種々のNi2+添加蛍光体の吸収波長シフトの傾向をある程度予測可能であることを示した。
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