• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

腫瘍血管におけるナノ粒子の動的な噴出現象の活用による既存抗がんナノ薬剤の効果増強

研究課題

研究課題/領域番号 22K20499
研究機関東京大学

研究代表者

五十嵐 一紀  東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (80962787)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワードドラッグデリバリー
研究実績の概要

乳がんモデルマウスを準備し、TGF-β阻害薬を前投与して、蛍光ナノ粒子を静注後に、全身麻酔下にレーザー共焦点顕微鏡にて腫瘍の観察を行った。しかし固定方法を工夫しても、呼吸性振動がマウス腫瘍を安定的に長時間観察する妨げとなり、解析に足る撮影ができなかった。従って、固定器具を工夫することで呼吸性振動を低減した腫瘍モデルマウスの固定方法を確立し、少なくとも3時間程度は安定的な撮影が可能となるよう、器具の試作を行っている。この固定器具が確立できれば、今後この噴出現象のみならず、ナノ薬剤の腫瘍送達の研究にとって画期的な、生理的条件に極めて近い腫瘍をリアルタイムで長時間観察できる実験系が確立できる。一方、生理的条件からは幾らか外れてしまうものの、より固定の容易なドーサルスキンフォールドチャンバー(背部皮膚に生傷を作り、それを覆うように取り付けた金具とカバーガラス)の中に移植した膵癌モデルマウスを作成し、既報にあるナノ粒子の噴出現象の頻度が増加した投与条件を用いて、TGF-β阻害薬を投与、ナノ薬剤を静注し、24時間後に腫瘍組織を摘出して、その薬剤の腫瘍送達量(単位腫瘍重量当たり)を測定した。ナノ薬剤の腫瘍送達量はTGF-β阻害薬投与群と生理食塩水投与群(コントロール)の間に有意差を認めなかったものの、既報にある噴出頻度の増加(約2倍)では薬剤の腫瘍送達促進には不十分であることが明らかとなった。従って、本噴出現象を有意義な送達経路として活用するには少なくとも10~20倍程度の噴出頻度の増加が必要であるものと推定され、今後薬剤投与による本噴出現象の頻度を高める実験を行うに当たり、具体的な目標を設定することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

乳がんモデルマウスの安定的な長時間観察が予定より難しく、固定方法の確立に時間を要しているため。

今後の研究の推進方策

呼吸性振動を低減した固定方法を可能とする固定器具を作成し、乳がんモデルマウスの安定的な長時間観察を可能とする。また同観察方法を用いて、ナノ薬剤の噴出頻度を10倍以上とすることを目標に、G-CSF、TGF-β阻害薬、クロロキン、細胞医薬の投与条件の最適化を進める。

次年度使用額が生じた理由

マウスの観察方法を改善するための固定器具を試作しており、当該年度に必要なマウス数が想定を下回ったため。今後観察方法が改良でき次第、マウスを追加購入、腫瘍モデルを作成し、種々の薬剤を投与してナノ粒子噴出現象を促進する最適な投与条件を探求するため、最終的には、予定通りの支出額となる見込みである。

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi