腫瘍血管におけるナノ粒子の動的な噴出現象(nano-eruption)は、従来想定されていた静的な孔からの漏出とは異なる新たな輸送経路として、抗がんナノ薬剤の腫瘍への送達効率を向上させることが期待されている。今回我々は、これまでnano-eruptionを促進すると報告されているTGF-β阻害薬、クロロキンの前投薬が、抗がんナノ薬剤の腫瘍への集積量を増加させるのか複数のモデル・薬剤を用いて検証したが、有意な変化を認めなかった。この結果により、既報にあるnano-eruptionの頻度の増加(2倍)や範囲の増加(8倍)を超える規模での本現象の促進を、今後目指す必要があることが明らかになった。
|