研究課題/領域番号 |
22K20531
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邊 雄一郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (40872164)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 超分子ポリマー / 電界効果 / 自己集合 |
研究実績の概要 |
本研究は、超分子ポリマーの電界下精密合成を目的としている。「電界効果を触媒」として利用し「モノマーの自己集合プロセス」を能動的に制御する方法論の確立を目指した。1.電界応答性モノマー分子の合成と2.電界下超分子ポリマー合成の制御が2本柱となる。今年度は、1のモノマー分子の合成に注力した。 当初設計していたモノマーは、平面かつ剛直なπ共役系有機半導体材料を組み込む構造を有していた。しかし、溶解性の観点からイオン性官能基の導入が困難であることがわかった。そこで、分子設計を柔軟に見直し、シンプルなモデルモノマーの合成に着手した。モノマーの主骨格には複数のアミド結合を施し、外縁部にカチオン性部位を導入した分子を合成した。 モノマーの合成に向けて、まずイオン性側鎖の合成に取り組んだ。ジハロアルカンの片側にフタル酸イミド基を導入、他方にイミダゾールを導入し、最後に加水分解することで目的化合物を総収率40%で得た。得られた側鎖を主骨格に導入後、イオン化し最終化合物を得た。得られたモノマーを2枚の電極で挟み、その電界応答性をクロノアンペロメトリーによって調査した。その結果、対向電極へモノマー分子が移動することを示唆する電流挙動が観測された。比較実験としてイオン化していない中性モノマーを用いて同様の実験を行った結果、特異な電流挙動は見られなかった。以上より、イオン性官能基を導入したモノマーの効果が現れたと考えられる。 続いて、電界下におけるモノマーの分子集合体構造を調べる目的で、光学顕微鏡を用いて電極近傍の観察を行った。その結果、電圧印加して得られた試料では、陰極先端に複屈折が観測された。電圧を印加しない場合では複屈折は観測されないことから、電界によって位置選択的に集合体を形成することができたと考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、電界応答性モノマー分子の合成と電界下超分子ポリマー合成の制御が主軸となる。今年度は、モノマー分子の合成に注力した。当初設計していたモノマーは、平面かつ剛直なπ共役系有機半導体材料を組み込む構造を有していた。しかし、溶解性の観点からイオン性官能基の導入が困難であることがわかった。そこで、分子設計を柔軟に見直し、シンプルなモデルとなるモノマーの合成に着手した。その結果、電界に応答するモノマーの得ることができ、電界下での集合挙動も明らかになりつつある。従って、研究は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初設計していたモノマーは、平面かつ剛直なπ共役系有機半導体材料を組み込む設計をしていた。しかし、溶解性の観点からイオン性官能基の導入が困難であった。そこで、分子設計を柔軟に見直し、モデルとなるよりシンプルな構造のモノマーを合成した。次年度は、モノマー分子の構造を調節しつつ、電界中における能動的な超分子ポリマー合成の制御に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、研究室のセットアップに向けて電気化学関連・有機合成試薬関連の物品費を計上した。また年度末に日本化学会へ参加登壇した際の旅費を計上した。次年度使用額として50円が生じたが、これは次年度の試薬費に充てる予定である。
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