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2022 年度 実施状況報告書

STMを用いたPd系合金の表面分析および触媒反応解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K20548
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

稲垣 万貴 (鳥本万貴)  国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (00844375)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード走査トンネル顕微鏡 / 金属表面 / 合金 / 化学反応
研究実績の概要

様々な化学反応に使用される担持金属触媒では、二種、あるいは三種以上の金属を混合させた合金触媒の研究が盛んであり、高活性・高選択性や耐久性向上などの利点が数多く報告されている。しかし一方で、合金化することにより金属の性質がどのように変化し、それにより吸着する分子の性質がどのように変化するのか、といった根本的な疑問に対する原子・分子レベルでの基礎的知見はいまだ十分ではない。そこで本研究では、金属表面および吸着分子の原子・分子レベルの測定・解析が可能である走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、合金表面の特性を解明することを目標とした。
2022年度は、研究の第一段階としてPd単結晶表面での検討を進めた。まず、新規に購入したPd単結晶基板をArイオンスパッタリングおよびアニーリングにより清浄化する条件を探索した。そして得られたPd単結晶基板でのSTM観測を行い、表面の不純物が無視できるほど少ないことを確認した。次に、プローブ分子としてCO分子を基板に吸着させた。CO分子はチャンバー内にバリアブルリークバルブから微量導入し、基板上で分子が孤立して存在していることを確認した。CO分子が基板上に吸着している場所でPdの原子像の取得に成功し、COの吸着サイトを特定することができた。さらに、電圧値の大きさを変化させながらパルスを印加して、トンネル電子が引きおこすCOの反応挙動を評価した。来年度は合金表面表面での検討を行うことで、合金化による金属電子状態の変化および分子の吸着性の変化を、原子・分子レベルで評価していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はPd単結晶のクリーニングに予想以上の時間がかかってしまったが、Pd単結晶基板における検討をほぼ進めることが出来た。清浄化した基板上の原子像の取得に成功し、CO分子の吸着サイトを特定することが出来た。さらに、Pd基板上へのZn原子の担持条件、焼成条件の探索も行い、PdZn合金表面を作成することに成功している。この結果をもとに来年度では合金表面上における単分子の研究をすすめていきたい。

今後の研究の推進方策

本年度、Pd単結晶基板での検討をすべて終えることができたので、来年度はPd系合金表面における検討に着手する。まず、Pd単結晶に異なる金属を真空蒸着させ、アニールすることでPd系合金表面を作製する。STMでチップと基板間にながれるトンネル電流の大きさには、基板の電子状態密度の項が入っており、そのため電圧を変化させて測定したトンネル電流をVについて微分することで得たスペクトルには資料の電子状態密度が反映される。この手法を走査トンネルスペクトロスコピー(STS)というが、本年度は合金表面におけるSTS観測に挑戦し、合金表面での電子状態を評価する。

次年度使用額が生じた理由

今年度の研究遂行に必要なものは全て購入することができたため。翌年度では単価が高いポンプなどを購入する予定があるため、差額分と合わせて使用していきたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Evaluation of the effects of alloying Pd-Zn and its application for the catalytic reaction2022

    • 著者名/発表者名
      M. Torimoto, Y. Sekine
    • 学会等名
      2022 Physical Electronics Conference
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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