本研究では、電気化学発光顕微鏡を用いて脂質二分子膜の形成をイメージングする系を構築した。平板電極上にリン脂質膜を展開し、ルテニウムビピリジン錯体とトリプロピルアミンの電気化学発光によって表面観察を行うと、1.1 V以上の電圧でわずかな発光が見られた。電圧依存的な発光は複数回の電圧掃引でも繰り返し観察できたことから、ルテニウム錯体のレドックス反応によるものと考えられる。さらに構成脂質をアニオン性・中性・カチオン性と変えると、発光が生じる電位も酸化側にシフトし、ルテニウム錯体と脂質膜の静電的相互作用により脂質膜の見え方が変化することが分かり、ラベルフリーな新規の脂質膜イメージング系を構築できた。
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